TVアニメ『ワールド イズ ダンシング』特別編集版1話2話先行上映会が6月21日に開催され主人公・鬼夜叉/世阿弥元清役の花守ゆみり、石也役の土屋神葉、コガネ役の内田真礼、足利義満役の櫻井孝宏、 黒柳トシマサ監督が登壇した。
漫画家・三原和人氏が『モーニング』(講談社)にて2021年から2022年にかけて連載していた同名作が原作。争いが絶えない動乱の時代、新しい舞を形作っていく世阿弥の半生を描いた。『ウマ娘 シンデレラグレイ』『光が死んだ夏』を手掛けたCypicがアニメーション制作している松竹、サイバーエージェント共同幹事作品となっている。
以下、公式レポート部分。
この日は1話2話の特別編集版をスクリーンで上映。その衝撃的な内容に会場は圧倒された雰囲気だったが、そんな空気の中、ステージに立った花守は「皆さん、ついに観てしまいましたね……」と観客をおもんぱかるとどっと沸いた会場内。「この作品の先行上映会でわたしが皆さんの前に登壇させていただくのははじめてでして。本当に緊張しておりますが、この“良い”を伝えたい、たくさん伝えていけたらなと思っております!」と意気込むと、黒柳監督も「映像が出来上がった時、『この1話と2話は絶対に映画館のスクリーンで映えるに違いない』と言っていて。実際にこういう機会をいただいて本当にうれしく思います」と感慨深い様子を見せた。
そして、改めて本作の映像について質問された花守は熱を帯びた声とともにコメント。「完成した映像をいただいた時、ちょうどメイク中だったんですが、メイクさんの手が思わず止まってしまうくらい、映像と音楽の持つ力がすごすぎて。わたしも声を当てさせていただいた側の人間なのに、すっかり見入ってしまうくらい衝撃的で。声をあてさせていただいた段階から気迫のようなものは感じていましたが、完成した作品を見て改めて度肝を抜かれました。これは絶対に映画館で見た方がいいです! 最高です! 本当に“良い”です」と興奮冷めやらぬ様子だった。
そして熱量の高い空間だったというアフレコ現場について土屋が「櫻井さんが、現場でお芝居についてお話してくださったのを覚えていますか? 僕はデビューの時から、ことあるごとに櫻井さんがお芝居をしている姿を見させていただいてきたんですが、お芝居のお話をしてくださるのは初めてで。あれがすごくうれしかったんです。あの時は照れ隠しなのか、『昨日飲み過ぎたから』なんておっしゃってましたけど」と語りかけると、「それ(飲み過ぎたの)は本当だと思います」と笑ってみせた櫻井。
さらに櫻井が「でも本当にそういう刺激があったというか。皆さんも映像を観て思ったはずですが、スタッフの方々にどういう発注をしたら、あんな映像ができあがるんだろうと思ったんです」と続けると、黒柳監督も「(スタッフに)本当に頼むからやってください、とお願いしたんです」と笑いつつも、「作品そのものを、鬼夜叉もふくめてどう表現するのか、ということを一緒に考えながらつくった作品なので。やはり僕たちも通常のアニメーションのような表現では足りないんじゃないだろうかと。そうすると何か新しい表現をアニメーションに組み込めないか、ということをいっぱい相談しながらつくったものになりました」と説明。櫻井たちも感心した様子で、「新しい表現のアニメって、まだできるんだなと思いましたね」としみじみと語った。
さらに櫻井は、自身が演じる足利義満の役作りについても言及。「足利義満って、ある一定の世代以上の方だと“とあるアニメーション”のイメージを持つ方も多いと思うんですが、そうしたイメージを塗り替えられたらなと思ったんです。そしてそれはたぶんみんながそういう強い思いを持って臨んだんだろうなと思うので、それでついついうっかり、演技の話をしてしまったのかもしれない」と熱量あふれる現場の一体感を振り返った。
また、スタッフ陣の細部へのこだわりについて感銘を受けた様子の内田が「わたしがアニメーションを見たときに、画がとてもしゃべってると思ったんです。それはもちろん舞のシーンなどでも、新しい表現としてすごいなと思いましたが、それだけでなくて鬼夜叉がトボトボ歩いているシーンの後ろの背景だけで、今がどんな時で、どんなことが起きていて、何が今、この街、この場所で起きているのか。いろいろなヒントもあって。すべてに感情が乗っていて、すごいものを見たなという感じがしました」と語ると、「ここから先、ストーリーが進んでいく中で、それをたくさん感じると思いますので、最後まで見たら、1話から見直したくなる作品だと思います」と会場に呼びかけた。
物語の序盤で鬼夜叉の運命を大きく変える存在として、沢城みゆきがキャストを務める白拍子が登場する。そんな沢城とのアフレコについて花守は「鬼夜叉にとって、白拍子という存在がいなければ、この先の道はなかったと言い切れるほど、彼女からは大きな衝撃と“良い”を感じました。だからこそ、とにかく沢城さんが演じる白拍子の声や呼吸など、本当に細かな音に心を動かされようと思い、ずっと耳を澄ませていました」と述懐。
さらに続けて「これから二条良基や犬王など、鬼夜叉の人生を動かす存在が次々と登場します。彼らの言葉に、演じている私自身も打ちのめされたり、一緒に衝撃を受けたりすることが多かったので。観ている皆さんの心にも深く突き刺さる場面がたくさんあるはずです。」と視聴者へ向けてあらためてメッセージを送った。
そんな熱気あふれるイベントも終盤に差し掛かり、登壇者から最後のメッセージが送られた。まずは黒柳監督が「基本的にこの物語は、成長を描く物語だと思ってやってきました。今まで僕が手がけてきた作品は、成長をプラスに捉えて描いてきたんですが、今回に限っては、成長とともに、何かと肯定される世界ではなくなり、特に鬼夜叉は幼いから褒められてきたものが、歳相応になった時に、それだけでは許されなくなる。そうした時に本当の自分って何だろうということに直面していく。歳を重ねて自分に求められるものがどんどん高くなっていく中で、幼くして上手だからと褒められていた自分に対するアドバンテージが一切なくなっていく。そうした時にはじめて自分の表現がはじまるんだと思うんです。今回はその瞬間を描いてみたかった。それは何かを作る人だけに限らず、多くの人が体験することではないかなと思っていて。この作品がこの時代を生き抜く糧になればと願っています」と力強くメッセージ。
続く櫻井は「監督のこんな大人っぽいコメントの後に亀の話をしてしまうわけですが」と笑いつつも、「重厚な物語の中で、とつぜん亀が喋(しゃべ)るようなファンタスティックな演出が自然と溶け込んでいて。それがこの作品のスパイス、エッセンスとなっています。3話以降には義満と鬼夜叉の決定的な出会いも待っているので、ぜひ楽しみにしていてください」と今後の展開をアピール。
さらに内田も「コガネを演じられてよかったです。最終話のアフレコが終わった時にも思いましたし、改めて本編を見てもまた思いました。そしてこの作品に思いを馳せ続けて、やっとこの日を迎えることができました。今日観てくださった皆さんにぜひとも感想を書いていただき、アニメの放送を一緒に楽しみにしていただけたら嬉しいです」と語りかけると、土屋も「僕はこれまで10年ほどのお芝居の世界で積み上げてきたものがあるんですが、そうした道のりを歩んでいく中で『こういう時はこうすればいい』といったものが出てくるんですが、そうしたものをかなぐり捨てたくなるような衝動に駆られる作品だったんです。これだけの熱量で作り上げられた作品が、いよいよ船出を迎え、何か世界を変えてくれるんじゃないか、という希望に胸を躍らせています。たくさんのスタッフ、全員の愛情がこもった作品です。どうかその愛を受け止めてくださったら嬉しいです」とメッセージを送る。
そして最後に花守が「本当に、この作品に登場する人たちは言葉では言い表せないような感情を届けたい、という気持ちを持って生きているんです。自分自身も表現というところに身を置いているからこそ、彼らが舞を通して人に伝えたいという苦しみ、悲しみ、怒り、感動、喜びが……でも、そういった単純な喜怒哀楽の言葉では表現できないような、この感情をどうやったら見てくださる方に届けられるだろうかと思い、毎話毎話、ずっと現場に立たせていただきました」と語ると、「原作者の三原先生がこの作品に込めた、言葉では言い現せられないものもそうですし、“花のような美しさ”というものが、日本だけでなく、世界にも届けていけたら。そしてここから先の未来に花を咲かせることができる作品だとわたしは信じて、全身全霊で声を当てさせていただきました。今こうして語っていても、まだまだ語り尽くせないことがたくさんある作品です。これからの1クール、皆さんに見ていただいて、感じていただくことがわたしたちが届けたかったすべてだと思っております。どうか鬼夜叉と一緒に“良い”を感じていただけたらと思います!」と会場に呼びかけ、イベントを締めくくった。
※記事内画像は(c)三原和人・講談社/『ワールド イズ ダンシング』製作委員会






