『Kiramune Presents READING LIVE 2026「Phantom Beauty」』が10月24日と10月25日に東京・Shibuya LOVEZにて、10月31日と11月1日に大阪・オリックス劇場にて開催。その模様の公式レポートが公開となった。
Kiramuneレーベルが、2012年の「鍵のかかった部屋」から毎年開催している朗読劇“READING LIVE”。その15周年を記念した作品。今回は豪華なキャスト陣がAチームとBチームに分かれて、同じ台本をまったく違うアプローチで演じていくものとなっている。
以下、公式レポート部分。
出演者は【A】上村祐翔/江口拓也/かかずゆみ/木村良平/高木渉/鳥海浩輔/保住有哉/代永翼/岡本信彦 【B】神谷浩史/草野太一/桑島法子/榊原優希/櫻井孝宏/浪川大輔/堀江瞬/吉永拓斗/吉野裕行/岡本信彦。(※五十音順。岡本は、東京公演は声のみの出演。Bチームのアンリ役は、東京公演は草野、大阪公演では榊原が演じた)。
2012年からスタートした“Kiramune Presents READING LIVE”は、声優が台本を手にして、声の演技に主軸を置きながらも、物語のキャラクターのように舞台上を動き、表情も変化させながら見せていく朗読劇である。ダブルキャスト、時にはトリプルキャストで同じ物語を演じるスタイルも魅力のひとつ。
15周年を記念した今作は、パリと日本を舞台にした天才贋作師の物語『Phantom Beauty』。脚本:佐藤亜美、脚本協力:神谷浩史による完全オリジナル作品だ。両チームにはスペシャルなゲスト声優も参加し、15周年に華を添えた。
物語の舞台は、1968年のパリ。巨匠の呼吸まで憑依させ、筆致まで完全模倣する技術を持つ画家の須佐玄理(江口拓也/神谷浩史)が、路上で自分の絵を売っているところから始まる。だが絵は売れず、通行人には絡まれ、野垂れ死にしかけていた。そこで出会ったのが、絵画の修復師見習いをしている照栖鏡平(木村良平/浪川大輔)。須佐の才能に気づいた照栖は、彼をサポートするが、コンクールに出品した彼の絵は、美術批評家である古端賢藏(鳥海浩輔/櫻井孝宏)に酷評されてしまう。傷ついた須佐はその後、ノエ(かかずゆみ/桑島法子)と出会う。彼女との出会いは彼の人生を大きく変え、須佐は彼女と共に“天才贋作師”として、美術界へ復讐を仕掛けていくことになる――。
今回の作品の魅力のひとつは、物語の始まりから終わりまで、40年以上の月日が流れているというところにある。もちろん見た目も変化はさせているが、時の流れを声で表現していくことができるのは、朗読劇ならではの魅力である。今作は特に、須佐の一生を描く物語だったので、江口と神谷の年齢の違いによる演じ分けは大きな見どころであった。しかも、夢を追う青年から、美を理解しない世の中に絶望し贋作師として生きていく道を選んでいくという波乱万丈な須佐の人生を、それぞれのアプローチで演じていくので、その芝居に引き込まれていくところが大いにあった。また、演じ終えたあと、2人共、すべてを出し切ったとぐったりしていたので、この公演がどれだけ大変なものだったのかも伝わってきた。
須佐の元相棒である照栖を演じた木村と浪川は、共に主役の2人と共演しているイメージが強いので、掛け合いの相性の良さが感じられた。無二の相棒として、須佐に対する想いの強さが感じられる芝居が感動的だった。櫛田ノエを演じたかかずゆみと桑島法子は、“女優のように人格を使い分けて相手を心酔させる”というキャラクターを見事に演じ切る。悪いことをしつつも、須佐といるのが楽しいのだという気持ちに嘘偽りがない、そんな彼女の生き様が伝わってくる芝居だった。
古端を演じたのは鳥海浩輔と櫻井孝宏。権力に目がない、この物語では所謂悪役ではあるのかもしれないが、古端の胡散臭さを、芝居に少しだけ盛り込むのが絶妙であり、須佐の人生を狂わす、見せかけの大物感が見事だ。
須佐に騙されはするものの、最後まで人の良さを感じさせたテオドルス・レイクは、代永翼と吉永拓斗が演じた。“人の良さ”を全面に出した代永と、“お金持ち”の余裕からくる陽気さを感じさせた吉永。それぞれのアプローチが面白い。人に美はジャッジできないと、須佐と同じ境地にたどり着くファンドマネージャーのジョーダン・リードを演じた上村祐翔と堀江瞬も、頭の切れる感じや鋭さを、まったく違う形で表現していたのが印象的だった。
銭村逸治を演じたのは、高木渉と吉野裕行。こちらはコミカルな演技と冷静な表情を使い分ける高木と、よりシリアスに銭村という男の人生や哀愁を感じさせた吉野で、まったく違う印象を受けるとともに、彼の存在で舞台全体の印象がガラッと変わるほどの影響力があったように思う。
東京では声のみの出演。大阪では実際に会場で演じた、ジュネ役の岡本信彦。正体不明の存在ではあるのだが、その正体不明感を、説得力のある声の芝居で見せた岡本の凄みを感じた。
登場時が7歳であり、物語の語り手でもあるアンリは、保住有哉、草野太一(東京B)、榊原優希(大阪B)が演じた。保住は最後のナレーションが特に感動的で素晴らしかったし、草野は子供の声からの切り替えが素晴らしい。大阪公演に出演した榊原も幼少期からの声色の変化で魅せながらも人懐っこく愛情深いアンリを演じきった。語り手という大事なポジションでもあったが、3人のお芝居が、物語をしっかりと締めてくれていた。
キャラクターを中心に舞台を振り返ったが、物語としても重厚で、美とは何か、優れた偽物は本物よりも優れていると言えるのではないか……など、見た人それぞれが、様々な感想を持ち、自分の問題などにも置き換えながら考えることができるテーマだったように思う。キャストの声の芝居の素晴らしさをベースに、舞台装置や演出によって約2時間、息つく暇もなく楽しむことができた、まさに15周年を飾るのにふさわしいREADING LIVEだった。
文:塚越淳一 / 撮影:江藤はんな、草刈雅之
















