俳優・吉沢亮が6月1日に東京国際フォーラム ホールCで開催された『第35回日本映画批評家大賞』で主演男優賞を受賞したことから登壇。映画パーソナリティの伊藤さとり氏や、俳優・田中泯が吉沢に触れることがあった。
『日本映画批評家大賞』は1991年に水野晴郎氏が発起人となり、淀川長治氏、小森和子氏といった当時第一線で活躍した映画批評家たちによって設立された映画人が映画人に贈る賞となっている。35回目の今回は「問うたびに、深くなる輝き。」をテーマにして展開している。
吉沢が主演した映画『国宝』(監督:李相日/配給:東宝)は作家・吉田修一氏の長編小説が原作。任侠の息子の主人公・立花喜久雄が歌舞伎役者となり、ライバルと切磋琢磨して芸に人生を捧げる物語。作品は大反響を呼び、2026年3月時点で興行収入200億円を突破した。
吉沢登壇直前には、『国宝』のダイジェスト映像が上映された後に、「心の底までスクリーンに映し出す魔性の演技」との紹介文も躍る画像が大スクリーンに映し出されるものとなった。
吉沢のスピーチ後に審査員および選考委員を務めている映画パーソナリティの伊藤さとり氏から吉沢へメッセージを送ることに。伊藤氏は『国宝』を6回観賞しているといい「ありがたいと言いたくなるくらい、本当に面白い作品だったんです。面白いというよりは美しくて痛みがある作品。なのにみんな観たくなると思ったんですよね。私自身が自分で審査する時に、1つ大切にしてることがあって、俳優賞はやっぱり作品が素晴らしいもので俳優賞をプレゼントしたいって思うんですね。『国宝』って本当に演出しかり、照明しかり、編集しかり、音楽しかり、そして俳優陣がみんなみんな1シーン1シーンに焼き付くような演技を見せつけてたんですね。そんな中で、吉沢亮さんという俳優が『この人にしかこの役がやれない』っていう、簡単な言葉で言うと唯一無二って、本当にこの人しか思いつかないっていう喜久雄だったんですよね。だから、こんなに多くの人に愛されて、で、こんなに多くの人に喜久雄と俊ぼうの姿を見たいと思わせる演技を見せてたんだなって思ったんです。振り返ってみると、私、今回『魔性』って書いたんですけど、なんか私自身が吉沢亮さんの演技を見てる中で、勝手に『リバーズ・エッジ』だったり『AWAKE』だったり『東京リベンジャーズ』だったり『キングダム』だったり、なんか少し“陰”あるのがとてもとても魅力的だったんですね。それが喜久雄という役で、見事にそれも全部さらけ出して。人間臭いのか、もしくはストイックなのか分からないけれども、惹きつける喜久雄というキャラクターを生み出したっていうことが、世界中の人に愛されてる理由だと思いますし。先日私が海外の映画祭に行った時も、「『国宝』がすっごく好き」ってフランスの方がおっしゃってたんですね。それだけ惹きつける作品で、素晴らしい演技を見せつけてくれたっていうことで、もう主演男優賞に絶対残したい名前でありました。ありがとうございます」と、自身の中の評価を伝えていた。
また、『国宝』において歌舞伎俳優で人間国宝に上り詰めた小野川万菊役を好演し、ゴールデン・グローリー賞を受賞した田中泯が登壇の際には、祝福しに花束を手渡すこともあった。
吉沢は「この度の受賞、誠におめでとうございます。泯さん演じた万菊という役が……何でしょうか……スクリーンに映るたびに場の空気を全て支配するような、圧倒的な存在感と言いますか。当然、映画見ているときもそうだし、現場でご一緒させて頂いたときも、泯さんとのシーンは毎回張り詰めるような緊張感があって。何だろうな……恐れだったりいろんな感情を抱えながらで。でもそれが、僕のお芝居も助けてくださって、泯さんとこの作品でご一緒できたことが素晴らしい経験になりました。また、どこかの機会でご一緒できることがあれば、非常に嬉しいなと思っております。この度は、おめでとうございます」と、祝辞を送った。
そんな吉沢へ「歌舞伎の俳優で、そして人間国宝で……そんな人やれるわけないじゃないか、と思ったんです。監督にいろいろ喋ってる喋ってるうちになんかやってみようかなあなんて思っちゃったんですよね。最初の撮影が、一緒だったんですね。どこだっけ? 大阪のドヤ街でちょっと待ってる場面が……」と語りだそうとしたが、吉沢は記憶になかったのか「あれが最初でしたっけ!?」「いや本当ですか」と驚き2人で思わず観客がほほ笑んでしまう間をたっぷり取ったトークを繰り広げる。
田中は吉沢の「場を支配する」というコメントに対して「支配するというか、存在感っていうか、存在してるっていうことを、僕たちは誰でもみんな一人一人が私は生きてる、私はここにいるっていうことを……」と話しながら、吉沢の真横にスッと立ち存在を示し、「たぶん口では言わなくても感じてやってるわけです」と伝える。この田中に圧倒されていた吉沢だったが、田中のマイクフォローを忘れず、マイクを手に吉沢の近くから離れようとする田中にマイクを向けながらニコニコと近づこうとする一幕も見られた。
■受賞一覧
◯作品賞:『愚か者の身分』(永田琴監督)
◯監督賞:永田琴監督『愚か者の身分』
◯主演男優賞:北村匠海『愚か者の身分』・吉沢亮『国宝』
◯主演女優賞:岸井ゆきの『佐藤さんと佐藤さん』
◯助演男優賞: 横浜流星『国宝』
◯助演女優賞: 二階堂ふみ『遠い山なみの光』
◯ドキュメンタリー賞 :『みらいのうた』(エリザベス宮地監督)
◯アニメーション作品賞:『ChaO』(青木康浩監督)
◯新人監督賞:小島央大監督『火の華』
◯新人男優賞(南俊子賞):林裕太『愚か者の身分』
◯新人女優賞(小森和子賞):南琴奈『ミーツ・ザ・ワールド』
◯脚本賞:熊谷まどか・天野千尋『佐藤さんと佐藤さん』
◯編集賞(浦岡敬一賞):大川景子『旅と日々』
◯松永文庫賞(特別賞):NPO 法人メディア・アクセス・サポートセンター
◯ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞): 田中泯『国宝』
◯ダイヤモンド大賞(淀川長治賞): 長塚京三『敵』
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ























