百貨店、量販店で販売する高級ギフトチョコレートをはじめとした洋菓子・スイーツを製造・販売する株式会社メリーチョコレートカムパニー(以下、メリーチョコレート)が6月26日に千葉・船橋市にある船橋工場でメディア向けの工場見学を開催した。
同社のロングセラー商品『ミルフィーユ10個入』が、食の専門家2万3000人超の審査によって選出される『ジャパン・フード・セレクション』の最高位となるグランプリを6月15日に受賞したことを記念し、ミルフィーユの製造工程をメディア向けに特別に公開するというもの。これまで、ロケなどで工場を訪れたメディアはいるそうだが、ミルフィーユ製造工程の公開は初となる。
1986年に1号館、1994年に2号館及び物流センターが立てられた工場は、潮の匂いがする海に面した場所。周囲には食品工場がひしめくなかだが、晴れた日には富士山も望めるという。エントランスではチョコレートの匂いはなかったが、1つ扉を開けるとチョコレートの甘い匂いがかすかに漂ってくる。
メリーチョコレートでは看板商品のミルフィーユを作る際に3日かかるという。1日目はパイ生地の焼成。2日目は生地の間にクリームを充填して重ねるとともに冷蔵などの作業。3日目は生地の裁断とエンローバーと呼ばれるチョコレートがけ、金属片などが混入していないかの機械と人の目によるチェック、個包装という工程になるとのこと。
さっそく、見学用の白衣と髪の毛が落ちないように帽子をかぶりミルフィーユを作っている工場内へ。衛生面にはとくに気を使っているそうで、本サイトスタッフも工場内に入る際に専用の履物へと履き替えたのを始め、2度のエアシャワーとブラシでのホコリ落とし、タイマーできっちり測りながらの30秒の手洗い、15秒の専用ブロアーによる衣類の掃除と、“コロコロ”と俗に呼ばれる粘着クリーナーでの衣服の掃除を経て、ミルフィーユの製造現場に入ることができた。
工場長の木村憲一氏による解説付きで生産ラインが案内される。生産ラインのあるルームには思わず生唾を呑みたくなるようなパイ生地の焼けた香ばしい匂いが漂っている。焼く前のパイ生地はとても薄い。それが焼成することで膨らんでいく様子や、クリームを充填した後には上から15キロの重しをかけてソリが出ないようにする作業。エンローバーと呼ばれるチョコレートがけでは、1回かけただけでは、均一化を図るのが難しいということで、2度がけをしていることなどが続々と明かされていく。包装も機械で空包装が出た際により分けるのはもちろんのこと、最後は手作業で確認と、1つのパッケージができるまで手間暇をかけて作られていることが伝わってくるようだった。
工場内で働く方々も、季節によって全然違うという。常勤の社員とともに派遣社員を2月から8月に約40人ほど、クリスマス商戦やバレンタイン期間など繁忙期の9月から1月までは約100~130人ほどが勤務するという。さまざまな地域から来られるそうで、工場内には日本語だけではなく5ヶ国語分の説明書きも見られ、さまざまな人たちが働いている様子を窺わせていた。
見学後は、定番3種のチョコレート、アーモンド、ストロベリーのできたてミルフィーユの試食も行われた。また、工場のラインからできたてのものを頂いたが、パック詰めされたものよりチョコレートの香りがより香り、パイ生地のサクサク感もしっかり感じる、この場だけでしか味わえない、ならではの体験も。
また同社の企業理念の目的の中に「無限の魅力を秘めているチョコレートを根幹に新しい価値を創造し続けます」というものがある。この取材日、その目的を体現するような出来事が。それは、ミルフィーユを開発している同社のマーケティング本部 研究開発部 係長の笹瀨斉美氏と研究開発部 部長の大石茂之氏からの商品の新たな魅力を引き出すマリアージュの提案だった。
まずは、ストロベリーのミルフィーユに粗挽きの黒コショウをかけたものが振る舞われた。チョコレートの原料であるカカオは香辛料ということもあり、抜けるようなスパイシーな香りが甘いチョコレートの味を引き締めているように感じた。こちらワインなどのおつまみとしても合うのではとのこと。
続けて、同社のカカオアイスデザートとアーモンドミルフィーユとのマリアージュした「冷やしミルフィーユ」も提案。カカオアイスの甘さ控えめのおいしさとアーモンドの匂いが抜けるものとなっていた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ