新作歌舞伎『流白浪燦星 碧翠の麗城』(ルパン三世 へきすいのれいじょう)記者会見が1月16日に都内ホテルで開催され歌舞伎俳優・片岡愛之助、中村米吉、脚本・演出を担当する戸部和久氏が登壇した。
漫画家モンキー・パンチ氏原作で漫画、テレビアニメ、映画を筆頭に国内外で人気の『ルパン三世』シリーズ。2023年12月に東京・新橋演舞場で上演され大好評を得た歌舞伎『流白浪燦星 卑弥呼の金印』が今年9月には京都・南座にて再演されるなど歌舞伎としても進化を遂げている。そんな歌舞伎『流白浪燦星』第2弾が上演となる。愛之助は流白浪燦星と石川五ェ門の二役を、米吉はヒロイン・瀬織姫(せおりひめ)役を、次元大介役を市川笑三郎、峰不二子役を市川笑也、銭形刑部役を市川中車が演じる。
会見ではまずは戸部氏から前作と今作の違いについて触れることに。第1作目については「ルパンと五ェ門という男と男のある種の戦い、ドラマを描いたという作品でございました。石川五衛門は、歌舞伎の世界の中で、ある意味で成長していったキャラクターでございます。一方、ルパン三世はみなさんご存知の通り、日本を代表するアニメに描かれている泥棒の親分です。ルパンと五ェ門が南禅寺の山門という歌舞伎の中で石川五右衛門が出てくる作品の中では、最も有名な場面のところで出会うというところから作品の方、始めさせていただきました。いわば歌舞伎の世界にルパンが飛び込んで、歌舞伎の五右衛門と一緒になって、そこで1つの歌舞伎におけるルパン一味、歌舞伎におけるルパンの登場人物というのが第1作目ででき上がっていったかなというふうに思っております」。
一方、今回の作品へ戸部氏は、「それを受けての第2作でございます。ですので、いろいろと悩み考えましたが、第2作としてはヒロインものをさせていただきたいというふうに思いまして米吉さんがいてくださっています。ルパン三世のヒロイン、あるいは原作でありますアルセーヌ・ルパンの中に出てくるヒロイン、さまざまヒロイン像というのはございますが、その中で歌舞伎の中にも有名なお姫様というのは多々出てまいります。そしてルパン三世の中にもヒロイン像というのがいろいろ描かれております。そういうものがない交ぜになりまして、ルパンとヒロインの物語というものができないかというふうに思いまして、今まさに鋭意制作中というところでございます。今回は愛之助さんの進化したルパン三世と、米吉さん演じるヒロイン瀬織姫(せおりひめ)のお2人の物語がどういう風に展開していくのか。そしてそれをお客さんにどう感じていただけるのか、そこを楽しみにご覧いただきたいなというふうに思っております」と、あらましを話した。
ちなみに、台本について戸部氏は「頑張って作っておるところなんでございます……けれども、こんなに書けない、こんなに難航するのは生まれて初めてだなと……」と、明かす。これに愛之助が補足を入れ、現時点で脚本の半分ほどはセリフもあり「セリフができていないだけで、しっかり構成はできております」とフォローも入れていた。
記者との質疑応答では、ルパン三世とヒロインというと『ルパン三世」シリーズ内でも人気の映画『ルパン三世カリオストロの城』のヒロイン・クラリスを思い浮かべる方も多いようで、その話題が記者から振られると戸部氏は、「ルパンと映画、ヒロインということを言いますと、金曜ロードショーでご覧になっている方も多いからから基本的にすぐ出てくるのが『カリオストロの城』で、ルパン三世でヒロインものをやるという感じになるとすぐ『カリオストロの城』みたいなお話が上がってきてしまうというのは、よくよく分かるところではあります。ですが、私は基本的にこの作品は、歌舞伎のお姫さまで有名な三姫(さんひめ)、もちろん、米吉さんを務められているお役ございますけれども。あるいは桜姫というお姫様もあります。歌舞伎のお姫様というのは、通常、男のために自分を犠牲にするとか、そういうふうに描かれることも多かったりいたします。ある意味で桜姫というものは、それとはちょっと違う存在であったりとかということがあります。もちろんそのルパンの映画、アニメの中にもクラリスがいたりとか、ほかにもさまざまに『カリオストロの城』のクラリスがいたり、ほかにもさまざまなタイプのヒロインが出てきます。僕は歌舞伎を新しく新作でさせていただくということの中で、それは現代のお客様に共感を持っていただきたいと思ってます。米吉さんも今の若い方々に大変、ファンの方々も多くいらっしゃるというふうに承知しておりますので。そういういろいろなルパンのある種のヒロイン像というものを落とし込んでいきながら、歌舞伎の中における、新しいお姫様、というものを作っていきたいなと思ってます。それこそ『風の谷のナウシカ』で空を飛んでいただいたこともあるんですが、その時よりも、むしろその古典歌舞伎の世界、古典歌舞伎の世界に生きるお姫様の中に、さまざまなルパン作品に出てくるお姫様を映し込んで、取り込んで、米吉さんらしいこのルパン歌舞伎におけるヒロインというものを作っていただきたいなという風に思っております。なので、何か1つの作品に固執してどうのというふうには思っておりませんで、むしろその歌舞伎のお姫さまもの、ヒロインものというところの中に歌舞伎側の人間としてちょっと申し訳ないんですが、ルパンの中から取り込んでいきたいなと。その中にたとえば原作のアルセーヌ・ルパンの元の原作の女性像であったりとかというものも入ってくるのかなというふうにも思っております」と、とうとうと説明し続けた。
こうした話を受けて米吉も、「これまで私が今まで務めさせて頂いた三姫を含め、先輩方に教えていただいたお姫さまの基礎。歌舞伎の場合ってさまざまなお役柄の引き出しをどれだけ埋めていくかっていうことが若いうちは求められるんです。娘ならこう、傾城(けいせい)ならこう、お姫さまならこう。その“お姫さまならこう”という土台の上に、このキャラクターの魅力をふりかけていくということが非常に重要だと思っておりまして。そのあたりのそのキャラクターの魅力をどれだけ戸部さんに書いていただけるかというところにかかってまいると思うんです(笑)。ただ、ポスター撮らせていただいてヒロインものと言われている以上、この私が演じる役というものが魅力的に見えなければお客さまには楽しんでいただけないというのが大前提だと思います。そこの部分はしっかりと気を引き締めながらも、戸部さんは“新しいお姫さま像”とおっしゃったので、逆にこれがうまく行けばこの歌舞伎のお姫さまの新たな1ページになったらいいなという、そこまでをもう理想として持ってたらいいなと思っております」と、期待を寄せた。
さらに米吉に、ルパン三世の魅力についても振られる。「子供のころはなんていうんでしょうか、「努力・友情・勝利」みたいな価値観のものに多く触れる機会があると思うんです。でも、ルパン三世は不二子は裏切るし、ルパンだって次元だって途中で『もうやめた』っていなくなっちゃったりする。そのどこかドライな人間関係みたいなのが作品の中にあって、大人の空気みたいなのをすごく感じた覚えがあります。それが魅力の1つでもあるし、今回の作品でもきっとそのルパン一味というのは一枚岩ではなくさまざまな活躍をしてくれることじゃないかと思うので、そこに私もヒロインとして振り回されることを楽しみにしております」と話していた。
また、愛之助がルパン三世とともに2役で演じる石川五ェ門について戸部氏は、「愛之助さんの衣装は、新しく、今回愛之助さん用にデザインさせていただいた『愛之助モデル・五ェ門』でございます」と明かし、「スチールを撮影しましたがめちゃくちゃかっこい!もう一段ちょっと大人の色気漂う五ェ門になっております。刀で立ち回りを思い切りできるのはこのルパンのキャラクターの中だと五ェ門だけでございますので、おいしいところで、たくさん“つまらぬもの”を斬っていただきたいなと思っております」と、ルパン三世の石川五ェ門の人気のセリフ「また、つまらないものを斬ってしまった」にかけてコメントを寄せる。
愛之助へ五ェ門のイメージについて質問が飛ぶと「あんまり喋らない……無口ですよね。どちらかというと。ちょっと不愛想で、でも一本芯が通っていて、みたいなところで」とのことだった。
ほか演出面について戸部氏は、「船だんまりや宙乗りということもしますが、昨今あまり見られてないような演出も含めて、私がやりたいなと思ったりしているものをいろいろ盛り込ませていただいております。劇場の小道具さんとかは大変ご迷惑をたくさんおかけしてるとは思うんですけれども、安全に。そして、『あ、こういう場面もあるんだ。こういう見せ方もあるんだ』というのを歌舞伎の中の引き出しから、それをちょっとまた新しくしながら、楽しんでいただけたらなというふうに思っております」と明かしていた。
そして愛之助から「ルパン三世はそれぞれ個性際立ったキャラクターがばっかりなんですけれども。歌舞伎の方も役者の方も個性際立った人ばっかりなんです。そういう意味では本当にキャラクターにそれぞれぴったりで、楽しんでいただけるんじゃないかな、なんて思っております。ですから私たちも、それぞれ個性を磨きながら、一丸となって今回のまた新しい目標を見つけて頑張っていきたいと思います」と意気込んでいた。
新作歌舞伎『流白浪燦星 碧翠の麗城』(ルパン三世 へきすいのれいじょう)東京公演は3月5日から3月27日まで新橋演舞場にて、愛知公演は4月3日から4月26日まで名古屋・御園座にて、京都公演は9月2日から9月26日まで南座にて、福岡公演は2027年2月6日から2月26日まで博多座にて上演予定!
※会見別原稿
・片岡愛之助 宙乗りや石川五ェ門役のことも!中村米吉らと新作歌舞伎『流白浪燦星』(ルパン三世)会見
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ








