“モリミュ”の愛称でも親しまれているミュージカル『憂国のモリアーティ』公演直前スペシャルイベントが5月4日に東京・日比谷のステップ広場で開催された『Hibiya Festival 2025』内で開催。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役の鈴木勝吾、シャーロック・ホームズ役の平野良らがステージを繰り広げた。
以下、公式レポート部分。
5月16日(金)より幕を開ける、ミュージカル『憂国のモリアーティ』大英帝国の醜聞 Reprise。その公演直前スペシャルイベントとして、東京ミッドタウン日比谷で開催中の『Hibiya Festival 2025』に、総勢10名の『モリミュ』キャストが登壇。生演奏にのせて、メドレー4曲を生歌唱で披露した。 2019年の旗揚げ公演開幕直前にも参加していた『Hibiya Festival』 への凱旋となり、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役の鈴木勝吾は「今日は楽しんでいってください!」と笑顔。また前回以上の観客が集まっていることに驚きの声も上げていた、シャーロック・ホームズ役の平野良も、「最高のゴールデン・ウィークにしましょう!」と呼び掛ける。
メドレーの始まりは、メインテーマ『憂国のモリアーティ』から。これまでのシリーズより作品を牽引するW主演の鈴木、平野を軸に、新キャストがお馴染みの楽曲を歌い上げ、新たな『モリミュ』を感じさせてくれた。続いて今作のキーパーソンであるアイリーン・アドラー役の彩凪翔が、ソロ曲『あの女 かく思索せり 其の一』を堂々披露。美しく凛としたアイリーンを歌声でも魅せた。この日初披露となったのが、モリアーティチーム5名で歌う新曲『闇の主と光の使徒と』だ。新生モリアーティ三兄弟のハーモニーに、モラン、フレッドが加わり、罪を背負ってでも仲間と共に大英帝国を変えていこうという、彼らの志を力強く語る。最後を飾ったのは、ウィリアムとシャーロックのデュエット曲『I hope / I will』。シリーズ屈指の名曲を、相性抜群の鈴木と平野がパワーアップした声色で聴かせ、メドレーをまとめ上げた。
生歌唱を終え、新キャスト陣はどこかほっとした表情に。そんな新たな座組みについて、鈴木は「和気あいあいとした雰囲気で稽古ができています」と楽しげだ。また平野が集まったファンに「新キャストはどうですか?」と問うと、大きな拍手が。これに平野も「新体制の『モリミュ』を受け入れてもらえていることが、自分事のように嬉しいです」と笑顔を浮かべる。
MCも務めたセバスチャン・モラン役の佐々木崇は、稽古場で座長ふたりを見て、「本物の天才たちがいるな」と感じているのだそう。しかしここで平野が佐々木について、「本読みのときに、ひとりだけ立ち上がって歌い始めたから、『仕掛けてきたな!?』と思って(笑)」と暴露。予想外の裏話に慌てる佐々木だったが、鈴木が「でもその熱量が嬉しかったですよ」と言うと、平野も「そうそう」と同意。またルイス・ジェームズ・モリアーティ役の百名ヒロキが、「そんな佐々木さんを見て、自分も緊張しつつ、僕はあえて座っていました」と話すと、平野がすかさず「あえて、っていうか、本読みは基本座ってやるものなのよ」とツッコミ、笑いが起こっていた。
なお、新たな座組みでの初生歌唱という大仕事を支えたのは、本作の音楽を手がけるただすけのピアノ、そしてシャーロックの“心の声”を奏で続けてきた林周雅のヴァイオリンによる生演奏だ。実はただすけにとって、5月4日は40代最後の日ということが判明し、急きょ全員で歌をプレゼントする一幕も。出演者はもちろん、集まった観客も含め、温かなムードに包まれたイベントとなっていた。
■キャストコメント
◯ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ:鈴木勝吾
イベントにお越しくださった方々が本当に温かくて、新生『モリミュ』を届けるひとつのきっかけが作れたなと感じられる一日になりました。『モリミュ』が再び『Hibiya Festival』に戻ってくることができたのが嬉しいですし、それも応援してくださるみなさんのおかげです。また、前回とは違う顔ぶれであることに、時の流れと新たな始まりを感じています。ミュージカル『憂国のモリアーティ』は、『憂国のモリアーティ』という素晴らしい原作のもと、素晴らしい楽曲と物語をお届けするべく、誠心誠意作ってきました。作品で描かれているメッセージや強い心だけでなく、同じ時代に生まれた仲間としても、届けたいものが詰まっています。ぜひ劇場で、新たな『モリミュ』をお楽しみいただけたら幸いです。僕も劇場入りするのが楽しみです!
◯シャーロック・ホームズ:平野良
今日は新しいメンバーをファンの方々に受け入れていただけているなと感じられ、それが嬉しかったです。2020年の「Op.2」上演当時は、手探りだったうえにコロナ禍が重なり、いろんなことをみんなで乗り越えていきました。それを踏まえて今回の再演では、さまざまなことをブラッシュアップし、このメンバーで新しい“大英帝国の醜聞”を作れることが嬉しく、早くお客様にも観ていただきたいという気持ちが生まれています。『モリミュ』は応援してくださる方々が育ててくださった作品です。生まれ変わった『モリミュ』も、また一緒に、大切に育てていけたらと思っています。引き続きご贔屓のほど、よろしくお願いいたします。
◯アルバート・ジェームズ・モリアーティ:廣瀬智紀
本日は貴重かつ素敵な経験をさせていただき、ありがとうございました。本番も今日以上の感動をお届けできればと思っています。座長のお二方は素晴らしく、おふたりについていけば怖いものなしという気持ちで、僕も必死にお稽古に励んでおります。本番は精一杯アルバートを演じ切りたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。
◯ルイス・ジェームズ・モリアーティ:百名ヒロキ
暑い中にもかかわらず、たくさんのお客様が待ってくださっていたことが、本当に嬉しかったです。そして『モリミュ』という作品はこんなに愛されているのか!と、プレッシャーも感じながらも、『Hibiya Festival』のステージで歌えたことが楽しく幸せで、本番がより一層楽しみになりました。ここからさらにギアを上げて、稽古に取り組んでいきたいと思います!劇場公演はもちろん、ライブ配信やアーカイブ配信もありますので、ぜひご覧ください。
◯セバスチャン・モラン:佐々木崇
ステージ上からは後ろの方の顔まで見えないほど、多くの方が集まってくださり、また僕らを温かく迎え入れてくださって嬉しかったです。それと共に、今日のイベントを通じてたくさんの期待も感じ、身の引き締まる思いです。本番はたくさんの素敵な楽曲を一同でお届けします。『憂国のモリアーティ』という力ある作品を、ミュージカルとしてより良いものにできるよう、そしてカッコいいモランをお届けできるよう、残りの稽古期間も頑張ってまいります。
◯フレッド・ポーロック:横山賀三
今日初めて歌を披露して、気が引き締まるのと同時に、『モリミュ』が始まるのだなという昂揚感も湧いて、幸せな気持ちになりました。何よりファンの方々がすごく温かい拍手を贈ってくださって、少しでも受け入れていただけたのかな……と、安心して本番に臨むことができそうです。もっともっと素敵だと思っていただけるように、残りの稽古、そして本番も一生懸命頑張ります!それぞれが持つ個性、歌声が合わさる楽曲は、どれも素晴らしいものばかりとなっています。みなさんの心に『モリミュ』の世界が届いたら嬉しいです。
◯ジョン・H・ワトソン:橋本真一
一観客として『モリミュ』を観た際、衝撃を受けたことを鮮明に覚えていて、今はそんな自分が(平野)良さんの隣で歌っている……!と、今日はとても感慨深かったです。またこのメンバーでステージに立ったことで、自分も『モリミュ』ファミリーの一員になれたんだなという、実感を得ることができました。自分がこれまでの『モリミュ』から感じたパワーをしっかりと引き継ぎ、本番は今日お披露目した以上のものをお届けしたいと思っています。どうぞ応援のほど、よろしくお願いいたします。
◯アイリーン・アドラー:彩凪翔
本読みの時点から、アンサンブルさん含め、『モリミュ』チームの高い熱量を感じていましたし、今日お客様の表情を見て、どれだけこの作品が愛されているかということを改めて目の当たりにしました。アイリーンはこれまで大湖(せしる)さんが緻密に作ってこられていて、ファンの方のなかにもきっとそのイメージが強くあるのではと、プレッシャーも感じていますが、私が演じるアイリーン・アドラーをしっかりお届けできるよう、本番までに役を深めていきたいと思います。劇場でみなさまのお越しをお待ちしています。
◯音楽・ピアノ:ただすけ
あんなにお客様が来てくださるとは思っておらず、今日はすごく緊張しました!それに通し稽古直前とあって、キャスト陣の仕上がりも素晴らしく、この人たちと演奏をするのか!という緊張もあったのですが、無事ステージを終えられて、今は肩の荷が下りた気持ちです。今作は再演ということで、少なからずやり残していたものを完成させたいと思っていましたが、実際台本をいただいて「早速曲を書かなくちゃ!」と圧倒させられました(笑)。ですが今回もキャストに恵まれ、自分が書いた曲をこんな素敵なキャストたちに歌ってもらえることが、本当に幸せです。ここからは半分趣味として、本番を目指し仕上がっていく新たな『モリミュ』を、僕も楽しみにしたいと思います!
◯ヴァイオリン:林周雅
「Op.2」当時を振り返ると、僕自身まだ若く、「自分のヴァイオリンをうまく弾こう」ということだけに頭が行っていたなと感じています。実は久しぶりに映像を観返してみたところ、「良くんより目立とうとしているじゃん!」と驚きました(笑)。今回はお芝居からいただいた波長を音楽に落とし込んで、音楽からの波長をお芝居に流せるような演奏ができればと思っています。ぜひ新しい『モリミュ』を楽しみにしていてください。
■Story
Catch me if you can, Mr. Holmes.
時は19世紀末、大英帝国最盛期(パクス・ブリタニカ)のロンドン──
古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間達に支配されている“大英帝国”。
生まれ落ちた時から一生涯の身分が決まるこの社会制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。
“犯罪卿”ジェームズ・モリアーティは腐敗した階級制度を打ち砕き理想の国を作り上げるために、“名探偵”シャーロック・ホームズは犯罪卿という謎を追い求めて、ロンドンの街を駆ける。
犯罪卿と名探偵の闇と光が世間を賑わせていた、ある夜──
陸軍省情報部長官のマイクロフト(伊藤裕一)より、大英帝国王室から盗み出された重大な“機密文書”奪還の命を受けたアルバート(廣瀬智紀)。ターゲットは“ The Woman(あの女) ”と称される、アイリーン・アドラー(彩凪翔)。
アルバートから指令の内容を聞いたウィリアム(鈴木勝吾)は、“犯罪卿“ジェームズ・モリアーティとして密かに計略を巡らせる。同じ頃、アイリーンはシャーロック・ホームズ(平野良)への接触を果たしていた。
犯罪卿と名探偵は「大英帝国の醜聞」に踊り踊らされ、アイリーンの“真の望み”へと辿り着く──
※記事内写真は(c)三好 輝/集英社 (c)ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト