乙武洋匡 LGBTQ、ろう者描いた映画「虹色の朝が来るまで」へ「『私は同じ境遇ではないけど理解者になるよ』と思ってくださる方が1人でも2人でも増えてくだされば」

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映画『虹色の朝が来るまで』初日舞台あいさつが開催

 タレント・乙武洋匡、女優・長井恵里、俳優・玉田宙が20日、東京・シネマート新宿で映画『虹色の朝が来るまで』(監督:今井ミカ/配給:フィルモット)舞台あいさつを今井監督とともに開いた。

 一昨年から行われている名作映画発掘を目的とした劇場発信型映画祭『のむらコレクション』(通称:のむコレ)。本作はその『のむコレ3』内で上映される1作。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(生まれた性と異なる性で生きる人)、クエスチョニング(性自認や性的指向を定めない人)の頭文字で表現されるLGBTQ。作品ではLGBTQのろう者がセクシャル・マイノリティ×地方都市という、いくつもの生きにくい環境が重なる中で悩み生きる姿を描いたヒューマンドラマに仕上がっている。

 長井、玉田、今井監督がろう者のため、手話をして、それに通訳が訳するなかでトークを展開。まずは、今井監督から本作がクラウドファンディングを通じて完成・公開へ至ったということで「いままでのみなさんの応援があってです。劇場で公開できたこと嬉しく思います。私は幼少期にろう学校に通っているころから映画監督の夢を描いてきて、そのなかでいろんな人と出会い、もしかしたらできるんじゃないかという夢ができ、クラウドファンディングでたくさんの方に応援して頂いたことで、背中を押してもらい、1歩ずつ1歩ずつ足を進めることができて、本当にありがたかったです。人生の中で1番いい時間だったので、これからも続けていきたいと思います」と、万感の思いを。

 今井監督らの姿を見守っていた乙武は上映を祝しながら「一般的に考えると、ろう者の方が映画監督を務めるというのは、ものすごく難易度の高いチャレンジに映ると思いますけど、見事にそれを成し遂げられた。こうして多くの方に観て頂く映画になったというのは本当に称賛に値するなと思っています。その記念すべき上映の第1回にこうして呼んで頂けて本当に嬉しく思います」と、気持ちを。

 作品を観た感想へ乙武は「映像に透明感があって美しいなと思い、女性ならではの感性があるのかなと感じました。それと、みなさんキャストの方が、普段は演技というものをしていなくて、何度か経験されている方や長井さんみたいな演技が初めてという方もいらっしゃる中ですが、こんなにみなさん違和感のない、まるでずっと俳優さん女優さんをこれまでやられてきたかのような素晴らしい演技をなさっているということに非常に驚きました。ストーリーとして、私はマイノリティーとしての活動を続けて来た者として、やはり悔しいなと思わされたのは、結局、この物語は今井監督ご自身のストーリーも投影されていた作品になっているということで、主人公である2人を救ったのは同じ当事者であったというストーリーになっています。そこが、境遇の違う者であっても、理解者になり彼らを救う存在になるんだという人が一般の社会では、もっともっと出てこないといけないなと感じさせられました。この映画を観てくださった方が、『私は同じ境遇ではないけど理解者になるよ』というふうに思ってくださる方が1人でも2人でも増えてくだされば、映画で伝えたいメッセージが意義深いものになってくるのかなと感じておりました」。

 司会から、自分たちと違う文化で生きている人たちをつなぐという現代の状況のなかで、この作品はその架け橋になるのかと問いかけもあった。これに乙武は「今井監督が『ろう者の文化も知ってもらいたい』というお話をしていたことがあって、主人公が冒頭で男性に別れを切り出すというシーンで気まずくなって目をそらすというシーンがあるんです。当然、手話で会話をするとなると相手を見ていないといけないわけですけど、やっぱりそういうコミュニケーションをとる人々でも、気まずくなると目ってそらすんだなって。それはろう者の方たちにとって、そんなの当たり前じゃないと思われるかもしれないけど、聴こえる人間にとっては、そういうところが新鮮に感じられたりとか。そういうのも非常に架け橋になるというか、私には新鮮に映ったんですよね」と、自身がうなったポイントも挙げた。

 一方、長井は演技をするうえでキャラクターづくりに悩んでいた際に今井監督からのアドバイスを受けそれに感銘を受けたといい「『たとえば初対面の人に会うときには、初対面の人に会うような表情を作るでしょ。それを主人公ならどういうふうに作るか考えてみよう』とおっしゃってくださって。魔法の言葉を頂いたようで、これは演技だけではなくて、日常生活でも私はいろんな表情を作ったりしているんだと、気持ちを切り替えられたんです」と、エピソードも披露。

 さらに、手話の台本で進行したという本作。長井は初めて台本を手にしたときに「日本語の文章だと思ったんですけど、手話の文法に当てはめて、単語と単語の間にスラッシュが入っているんです。そうすると、第一言語が日本手話なので私としてはとても意味がつかみやすかったです。いい意味で自然に意味をつかめて、演技のときにも前もって一生懸命読まなくちゃというより、少し確認するくらいで、すんなりセリフが出てきました。ですので、演じやすかったです」と、違いを語ることもあった。

 そして、乙武から人生の先輩として、「私自身は身体障碍者で、当然何かをしようと思えばハンデはあると思います。登壇されているお3方も、ほかの方のように聴くことができないということで、何かをしようと思えばハンデはあると思います。ただ、どんな人でも苦手なこととか、ほかの人と比べるとマイナスになるポイントというのはあるので、誰かが何かをしようと思えば、ああもっとここがこうだったら良かったのに……というポイントってあると思うんです。でも、そこはいくら悔やんだり、嘆いたりしても僕の手足が生えてくるわけでもないし、みなさんの耳が聴こえるようになるわけでもない。なので、どんなに努力しても変えられないことは、そこはもう仕方がないと割り切って、努力すればいくらでも変えられるというポイントに自分のエネルギーを注いでいくということをしていくと道は拓けてくるのかなと。私はそういう思いで進んできました。登壇されているお3方はそういうエネルギーのある方々だと思うので、やりたいことに全力投球して道を拓いていって頂けたらと思います」と、メッセージを寄せていた。

 映画『虹色の朝が来るまで』は20日よりシネマート新宿、30日よりシネマート心斎橋にて上映。

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