RDS社車いす陸上・伊藤智也選手とともに最先端車いすレーサー開発!シーティングポジションの最適化を測るシミュレーター

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最新の陸上競技用車いすである車いすレーサー「WF01TR」

 モータースポーツや医療福祉機器の研究開発を手がける『株式会社RDS』が、パラリンピック北京大会で金メダル、ロンドン大会で銀メダルを獲得している車いす陸上アスリートの伊藤智也選手(56)を開発ドライバーに迎え、最先端技術の詰まった最新の陸上競技用車いすである車いすレーサー「WF01TR」を発表した。

 開発がスタートしたのが2017年。『株式会社RDS』代表取締役社長の杉原行里氏は、「伊藤選手が『ここが硬いから調整してほしい』と言っても、それは感覚的で抽象的なものでしかありませんでした。そこで重視したのが、コミュニケーションのツールとして伊藤選手の感覚を数値化することでした」と、開発の苦労を語ると、伊藤選手も、「僕からすると、丸裸にされたようなもの。座席部分に触覚センサーを入れて、データが取られ、お尻の形まで再現されたわけですから」と、苦笑いしながら振り返った。

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車いす陸上・伊藤智也選手

 マシンの動き、走行中の伊藤選手のフォーム、力の分散バランスなどの力学的なデータ、3Dスキャナーやモーションキャプチャー、フォースプレートなどの機器を使って計測。それらのモーションデータを元に伊藤選手がこれまで身に付けてきた「感覚」を「数値化」することに成功。プロトタイプを製作し、テストを繰り返しながらマシンをアップデート。月日を重ねるごとにマシンが進化し、先端技術の詰まった最新の車いすレーサーが完成した。

 マシンの動きや走行中のフォームなどを、3Dスキャナーやモーションキャプチャーなどの機器を使って計測。このデータを基にプロトタイプを製作し、座る位置を前後に数センチ単位で動かしながらテストを重ね、マシンをアップデートしていきました」(杉原氏)

 そして、車いすレーサー「WF01TR」を開発する過程でわかったことは、シーティングポジションの重要性。シーティングとは、車椅子や椅子などに長時間座り続ける方の心身機能や生活状況を考慮し、良好な座位姿勢が確保できるように調整すること。車いすレーサーの場合は、ハンドリム(駆動輪の外側についている持ち手)を漕ぐ腕の力が過不足なく効率的に伝えられ、疲れることなく、速いタイムを出せる最適な位置。感覚でいうと、「しっくりくる」というフィッティングのこと。選手個々の体躯やレース時の姿勢などで変わってくる。

RDS社車いす陸上・伊藤智也選手とともに最先端車いすレーサー開発!シーティングポジションの最適化を測るシミュレーター

最適なシーティングポジションを測るシミュレーター「SS01」

 この最適なシーティングポジションを測ることができるシミュレーター「SS01」を、『株式会社RDS』は千葉工業大学未来ロボット技術センター(fuRo)と共同開発した。このシミュレーターは、シーティングポジションやハンドリムを漕ぐ腕の力など、様々なパーソナライズされたデータを所得することができ、自分の最適解を導き出すことが可能。将来的には、モータースポーツやe-sports、オフィスワーカーや高齢者など、長時間座ってスポーツや生活をする人々らに活用した、パーソナライズの量産化も期待されている。その第一弾として、国立障碍者リハビリテーションセンター研究所とのシミュレーターを活用したプロジェクトも発表された。

 また、このプロジェクトを通じ、開発ドライバーを務めた伊藤選手が、2012年のロンドンパラリンピック大会終了後に引退していたが、2020年東京パラリンピック出場を目指して現役復帰し、57歳でのめるダル獲得を目指す。

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VRレーサー『CYBER WHEEL X(サイバーウィル エックス)』

 さらに、車いすマラソンやレースの競技を身近に体験できるエンターテイメントとして、2017年に、デジタル技術を駆使した新サービスを手掛けるIT企業『株式会社ワントゥーテン(1→10)』が開発したVRレーサー『CYBER WHEEL(サイバーウィル)』を、『株式会社RDS』と『株式会社ワントゥーテン(1→10)』の新たなテクノロジーで進化させたVRレーサー『CYBER WHEEL X(サイバーウィル エックス)』を共同開発。エンタ―テイメント性をより追求し、通信対戦や千葉工業大学未来ロボット技術センター(fuRo)協力のもと、ハンドリムウエイトの技術を導入。さらに、世界記録やトップレーサーとのデータ対戦、ハンドリムの回転数の確認や負荷の調整が可能に。ゲームとしてだけでなく、車いすアスリートのトレーニングとしても利用可能。筐体は、車いすレーサー「WF01TR」をモデルにデザインした。

 関連記事:「車いすマラソンやレースの競技をVR体験できる『CYBER WHEEL X』をRDSとワントゥーテンが共同開発」

 なお、「CYBER WHEEL X」は現在、東京ソラマチのイーストヤード「PLAY 5G」にて体験が可能となっている。

 杉原氏は、「日本は2025年には30%以上が65歳超えとなる。車いすへの意識や、呼び名も変わっていくでしょう」と、将来を見据えている。

 ■株式会社RDS
  URL http://www.rds-design.jp/
  RDSは、2019年度F1チームToro Rosso Hondaのスポンサーを始め、モータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わり『アイデア力』『デザイン力』『技術力』を強みに、自社ファクトリーから新しいモノ作りのカタチを世界に発信する研究開発型の企業。グッドデザイン金賞を受賞した世界最軽量の『ドライカーボン松葉杖』や、車いすの概念を変える未来型車モビリティ『WF-01』などプロダクト開発を行うとともに、2018年3月に行われた平昌パラリンピックで、チェアスキー男子の森井大輝選手や女子の村岡桃香選手のオフィシャルサプライヤーを務め、金メダルを含む、計7個のメダル獲得に貢献した。スポーツx 医療福祉 x テクノロジーを掛け合わせたmedia【HERO X】を運営。
  ※関連『HERO-X』http://hero-x.jp

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『株式会社RDS』代表取締役社長の杉原行里氏


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最適なシーティングポジションを測るシミュレーター「SS01」


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VRレーサー『CYBER WHEEL X(サイバーウィル エックス)』


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