（撮影：水華舞 （C）エッジライン／ニュースラウンジ）
大阪国際文化芸術プロジェクト『第六回 大阪落語祭』初日公演が大阪・国立文楽劇場で開幕。落語家・笑福亭喬介、桂米團治、桂文珍を始め落語家が勢ぞろいとなった。
大阪を代表する伝統芸能のひとつで、大阪弁などの上方言葉を用いて繰り広げられる「上方落語」。東西の金看板から次代を担う上方の若手落語家までが一堂に会して、話題性の高い寄席を上演することで、落語ファンの裾野をさらに広げることを目的としている。さらに、2025年大阪・関西万博の開催による来阪者の増加との相乗効果を生み出し、天満天神繁昌亭や動楽亭など上方落語が連日上演される寄席小屋への誘客へもつなげていく。
桂文珍
この日の先陣を切ったのは笑福亭喬介による『牛ほめ』から。桂米團治による世襲のまくらから芝居好きの商家の若旦那と丁稚による即興芝居に興じる落語『七段目』へとつなげる流れるような話芸で見せれば、続く桂文珍はAIとの問答を繰り広げる落語『A.I.ル問答』で、まるでAIが隣にいるかのような光景を、観客たちの脳内に展開してみせた。
落語の休憩時間にあたる『仲入り』を挟んでは翌8月27日の『立秋大吉寄席』でそれぞれトリを務める笑福亭銀瓶、桂南天、桂米紫、桂春蝶、桂かい枝、林家菊丸、桂吉弥、笑福亭喬若、笑福亭鉄瓶、月亭方正が1人1人口上を述べていく。司会・笑福亭仁智を迎え、1人1人個性的な口上を述べた。
口上
口上後は桂南光による『ちりとてちん』。そしてこの日はトリを飾る予定だった桂文枝は体調不良により休演となり代演として桂福團治による人情噺の『ねずみ穴』で観客らを聴き入らせていた。
終演後には笑福亭銀瓶、桂南天、桂米紫、桂春蝶、桂かい枝、林家菊丸、桂吉弥、笑福亭喬若、笑福亭鉄瓶、月亭方正へトリを飾ることへの意気込みを語っていくこととなった。
桂米紫
●桂米紫
落語のイベントは、東京の方がなんか仕掛けるのが今まで、そういう機会も多くて東京の方が落語家の人数も多いですし、「落語といえば東京落語だ」みたいな、向こうがメインだみたいな感じがあります。けども、やっぱ上方落語は東京落語とは違う大事にせないかん文化だと思います。
それをこんなお祭りという形でして頂けるのが、非常に嬉しい限りでございます。選ばれたメンバーとして一生懸命、努めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。
笑福亭銀瓶
●笑福亭銀瓶
トリをとらしていただくのはたしか2回目で、非常に光栄なことでございます。東京の方、（柳家）三三さんの後なんですけども、もう精いっぱい自分らしさを出して、ぶつかっていきたいと思います。よろしくお願いします。
桂南天
●桂南天
賑やかな落語会でトリとらしてもろうて。気持ちとしては、“任さんかい！”という気持ちでやります。その日たぶんお客さん満席になるみたいなので、一生懸命やって、思いっきり笑かしたいと思います。よろしくお願いします。
桂春蝶
●桂春蝶
僕の前に出てくださる東京のゲストは（立川）志らく兄さんで、志らく、春蝶……これはもう落語会では炎上コンビって言われてましてですね（笑）。非常にネット上でも、叩かれやすい2人です。ぜひ、熱いうちに叩いてください。
頑張ります。
よろしくお願いします。
桂かい枝
●桂かい枝
本当に盛大なお祭りに呼んで頂いて、トリを任して頂くということで、本当自分が楽しんで、お客さまとともに、いい時間になればいいなと思っております。頑張ります。ありがとうございます。
月亭方正
●月亭方正
僕は40歳からこの噺家の世界に、来さしていただきまして、今57歳で噺家歴は17年なんです。芸歴はまあ長いんですけれども、噺家歴17年でこの舞台に立たして頂いているということが本当に嬉しくて、もう、ぶつかるだけです。もう……ぶつかるだけです！いや、本当に嬉しいんで。
この前、ABCラジオの公開収録で、ここ（国立文楽劇場）だったんですよ。（演目は）『御神酒徳利』を僕させて頂いたんですけど、まあウケてね、もうすっごい気持ちよかったんです！
でも、今回はそれのもっと、もっとウケさして、すっごい気持ちいい瞬間を、感じたいと思います！
笑福亭喬若
●笑福亭喬若
明日の公演のトリということでございまして、もう、すでに緊張しております。
もう、高座でもずっと緊張しっぱなしで、明日どないしようかなと思っております。
（2026年2月に三代目笑福亭三喬の）襲名も控えておりますんで、これをバネに頑張りたいと思います。以上です。ありがとうございました。
林家菊丸
●林家菊丸
先ほどの福團治師匠の高座を袖でかぶりつきで見せていただいて、改めて、トリの重責ってこういうことなんだっていうのを感じました。すごいなと思い、明日の夜はそれを自分がやるんだと思うと、俄然みなぎるものが湧いてきたと思っています。
明日は、（立川）談春さんの後に出させて頂くんですけど、落語作家の小佐田定雄先生が激励をしてくださるのかと、私の耳元で「談春、菊丸、顔のでかいのが2人続くな」と。どういう激励かと思いました（笑）。ですが、普段客席で見ているこの文楽劇場でトリをとれる。本当に喜ばしいことで、精いっぱい頑張りたいと思います。
桂吉弥
●桂吉弥
まあ年齢近いですけど、僕とか同期、春蝶さん、米紫さん、菊丸さん、方正さん。僕らが入った31年前は、本当に、こんなお祭りができるような感じではなかったんです。
たくさんお客さんを呼ぶお師匠さん方はいらっしゃいましたんですけど、そろって文楽劇場で、それも落語でっていうのはね。
お客さんに、毎日毎日、完売になってるみたいなところで、我々の普段の今やってる落語を僕も頑張ってやりたいと思いますので、宣伝よろしくお願いします。
笑福亭鉄瓶
●笑福亭鉄瓶
僕はもう芸歴として1番後輩ですし、もうとにかく向かって行くだけというか、熱量で頑張っていくしかないと思ってます。
僕はありがたいことに1回目から『大阪落語祭』に参加させて頂いてまして、トリをとるのも今回で2回目になるんです。やっぱり、東京の人らで集まってなんかやるところに、上方の噺家が入るっていうたら、ちょろっとなんですよね。
やっぱり大きい何かお祭り事があって、大阪の噺家がここにいっぱい出れるよっていうのを、今日、鳴り物とかお手伝いで来てる若手が御簾内から、ものすごいキラキラした目で見てるのを見て、やっぱり若手が「『大阪落語祭』ものすごい今、流行ってて人気やねん！だから俺らもここ出たいねん！出るためにはどうしたらええか？普段から一生懸命落語せなあかんな！』。そういう熱量でエンジンがかかっていって、すごく大きな輪になって、宣伝するみなさんがそれを、もっと大きい輪にしてもらえるような、上方落語会になっていけばいいなと思っております。私は8月31日の最後の日（大千穐楽）のトリなので、一生懸命やらせていただきたいと思います。
笑福亭仁智
そんな10人を見守っていた、笑福亭仁智からはあらためて「どんどんと力を蓄えていただいて、それこそ大きな看板になった時には、その実力を発揮していただけると思ってます」と、目を細めていた。
『第六回 大阪落語祭』は8月26日から8月31日の6日間、国立文楽劇場にて開催！
取材・撮影：水華舞 （C）エッジライン／ニュースラウンジ
笑福亭喬介
桂米團治
桂福團治
