アイドルグループ『Snow Man』で“舘様”の愛称でも親しまれる宮舘涼太が10月4日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで映画『火喰鳥を、喰う』(監督:本木克英/配給:KADOKAWA、ギャガ)公開記念舞台あいさつに水上恒司、山下美月、麻生祐未、豊田裕大、本木克英監督とともに登壇した。
信州で暮らす久喜雄司(水上)と夕里子(山下)の元に戦死した先祖の久喜貞市の日記が届く。最後のページに綴られていたのは「ヒクイドリ、クイタイ」の文字。その日以来、幸せな夫婦の周辺で不可解な出来事が起こり始める。超常現象専門家・北斗総一郎(宮舘)を加え真相を探るが、その先に現れたのは驚愕の世界だった――という物語。
舞台挨拶の模様は全国約300の劇場で生中継され、巨大な火喰鳥も姿を見せた。
以下、公式レポート部分。
登壇陣は、火喰鳥の喉垂れ(※ヒクイドリという名の由来にもなっている、喉から垂れ下がる2本の赤色の肉垂)にちなんで、衣装にワンポイントの“赤”を入れて登壇していたが、宮舘さんだけは事前にそのことを「聞いてなかった(苦笑)!」とのこと…。それでも宮舘さんは「自分で衣装をフィッティングした時に、ここ(胸元)に赤を入れたらいいんじゃない?って(赤い)ハンカチーフを入れてきました!」としっかりと「Snow Man」でのメンバーカラーである赤を入れており、会場は笑いと拍手に包まれる。
主演の水上さんは「このメンバーと一緒に登壇する日を迎えることができて、非常に安心というか、嬉しい思いでいっぱいです」と挨拶。完成した映画を試写で鑑賞した際のことをふり返り「試写を見るって役者にとってプレッシャーになる部分があって、見終わったら関係者が待っていて『どうでしたか?』と感想を求められるんです。今回は見終わって、開口一番『面白かった!』と本木監督にお話ししました」と自らが感じた手応えを明かし「そういう作品が無事に初日を迎えることができて嬉しいです。感無量です!」と万感の思いを口にする。
本木監督も「いままでに見たことのないジャンルのものを見たという気持ちになりたいという思いで、一人目の観客としてつくりました」と本作に込めた思いを口にし、無事に公開を迎え「感無量でございます」と笑顔を見せた。
山下さんは、タイトルにもあり、物語のカギを握る“火喰鳥”の存在について言及。「現場では火喰鳥を見ていなかったので、イメージでお芝居していたんですが、(完成した映画を観て)まさかあんな鳴き声と思わなくて…(笑)。『キェーっ!!』って鳴いていて、初めて聴く音だなって驚きの火喰鳥でした」と明かす。
映画では、水上さんが演じる雄司とその妻で山下さん演じる夕里子、宮舘さんが演じる、夕里子の先輩で超常現象の専門家である北斗の“三角関係”が大きな軸となっている。宮舘さんは、自身が演じた北斗の異様なまでの“執着”について「北斗の思う執着というのは、とても真っすぐなもので、『手に入れたい』という気持ちに向かって真っすぐ相手に物事を伝える。その真っすぐな気持ちが執着とつながって全面的に出ていたのかなと思います」と分析。水上さんは、北斗と対立する雄司を演じつつ、宮舘さんの凄まじい演技に「笑いそうになる瞬間があった(笑)」と明かしたが、宮舘さんは「どこで? どこでかな…(笑)?」と納得がいかない様子でツッコミを入れる。その北斗の執着の矛先となる夕里子を演じた山下さんも、宮舘さんの“怪演”について「本当にすごい変でしたよ」とバッサリ。宮舘さんは「“変”って言わないでくれる?」と苦笑交じりにクレームを入れるが、山下さんは「素晴らしい変さというか、良い変さでした」と独特の表現で称賛を送り、会場は再び笑いに包まれていた。
そんな撮影現場について麻生さんは「とても楽しく和やかに進んでいました」とニッコリ。豊田さんは夕里子の弟・亮を演じており、亮はある意味で、映画の中で正体不明の“怪異”が頻発するきっかけをつくる人物だが、亮のように些細な出来事が事件を招いた経験は?と問われた豊田さんは「うちの両親がめちゃくちゃ厳しいんです。幼稚園の頃、近所においしいアイスキャンディー屋さんがあって、『1 日 1 本だよ』と言われていたんですが、僕はもう 1 本食べたくて、食べたんですが、それがバレたんです。そうしたら…」と映画顔負けの恐怖体験を告白!水上さん、宮舘さんからは「儀式(笑)?」と驚きの声が上がっていた。
この日は、上映後の舞台挨拶ということで、キャスト陣がお気に入りのシーンや印象深いシーンについて語り合ったが、山下さんが印象深いシーンとして挙げたのは、雄司と北斗が夕里子を巡って争うシーン。山下さんは大きなスクリーンに映し出された水上さん、宮舘さんの姿を見て「夕里子のために殴り合ってるんですけど、この大きさでこの2人が映ってると、めっちゃ白米食べられそう(笑)!味濃いめのソースみたいな感じですね」とまたも独特のワードセンスで水上さんと宮舘さんによる濃厚なシーンを表現し「今回の映画のテーマは“執着”ですが、『ひとりの人間に対して、そこまでやりあうんだ…!?』という。そこまでの人間の執着やパワーを生で見たことがなかったので、それを映像で見ることができて『人間って怖いものだな』ってハッとさせられました」とふり返った。
一方、宮舘さんが印象深いシーンとして選んだのは、雄司と夕里子が食卓に並んで座り、お茶漬けを食べるシーン。宮舘さんは「(雄司と夕里子は)お茶漬け、似合いません? すごく爽やかじゃないですか。この映画で一番と言ってもいい爽やかさがここにあると思うし、ここから夫婦の絆が深まっていくという『深まりのお茶漬け』と名付けたいシーンです」と理由を説明する。本木監督からは「若いけど、お茶漬けを食べることあるの?」と質問が飛んだが、宮舘さんは「もちろんです! 梅派です」と笑顔で即答し、会場は再び笑いに包まれていた。
そして、水上さんがチョイスした印象深いシーンは、北斗の登場シーンであり、カフェで雄司らが北斗と初めて対面するシーン。この後で、北斗が長く語るシーンがあるが、水上さんは「このシーンが(宮舘さんは)ほぼクランクインだったんですよね?クランクインの日に、あの膨大なセリフを言ってるんです。絶対に緊張するし、見ているこっちも緊張してもおかしくないんですけど、緊張している様子があまり見えなくて、『緊張してないんだ!?』と思いながら芝居が始まりました。笑いそうになりながら『何だこいつ?』、『何言ってるんだ?こいつ…』と思いながら、雄司として北斗を拒絶していくところで、すごくお気に入りです」と明かす。
宮舘さんは、この長ゼリフのシーンについて「僕のできる最善を尽くして、セリフを覚えていくのは当たり前ですが、セリフに感情乗せて、説得をしていかないといけないんです。監督は『カットを割りますよ?』と言ってくださったんですが、僕は1回も止めたくなくて、ページにして5~6ページありましたが『一発で長回しでやらせてください!』と僕の方からお願いしました」と舞台裏を明かしてくれた。山下さんは「ほとんどミスもなくて、東京で普段、お忙しいのに、いつ覚えてるんだろう?って思いました」と感嘆!宮舘さんは「もう1回どころじゃなく、何回でも、何十回でも見てほしいです!」と呼びかけた。
舞台挨拶の最後には、映画の公開を記念してくす玉が登場。「ヒクイドリヲクウ」という合図の声に合わせて、登壇陣と客席が一緒に「ビミナリ!」と声を上げ、ひもを引っ張ると、中からは垂れ幕と共に火喰鳥の赤や青の羽根が舞い、会場は歓声に包まれた。
登壇陣を代表してマイクを握った水上さんは「まずは、無事に映画の公開を迎えることができて感無量です。こんなに新しいジャンル、新しい色の映画ができまして、この先、どんな映画が生まれるかわかりませんが、この『火喰鳥を、喰う』には、この映画にしかないものがあると思います!これからも声援のほど、何卒よろしくお願いします」と語り、拍手と歓声の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
※記事内画像は(C)2025「火喰鳥を、喰う」製作員会