波瑠主演作「ホテルローヤル」へ「ラブホテルのことはよく知らないけどリアルだなと説得力」を感じた武正晴監督こだわりポイントとは

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 女優・波瑠(29)、夏川結衣(52)、俳優・安田顕(46)、岡山天音(26)が26日、東京・スペースFS汐留で映画『ホテルローヤル』(監督:武正晴/配給:ファントム・フィルム)完成報告会イベントを武監督(53)とともに開いた。

 本作は作家・桜木紫乃氏が、2013年の第149回直木賞を受賞した作品。電子書籍を含む累計発行部数95万部を超える桜木氏の自伝的な物語。桜木氏の生家でもある北海道・釧路湿原に立つラブホテル「ホテルローヤル」が舞台で、ホテルを訪れる人々や従業員、経営者家族それぞれが抱える人生の哀歓をやわらかく描いた人間ドラマ。波瑠は美大受験に失敗し家業のホテルを手伝う主人公・雅代を演じる。

 波瑠は「去年5、6月に撮影していた作品が、みなさんに発表できて幸せなことだと思います」と、まずは時勢のこととからめてあいさつ。

 本作は話を受ける前の、桜木氏が直木賞を受賞した際に、書店で売っていたものを手にしているそうで、「平積みされている『ホテルローヤル』と、平積みされている芥川賞の1作品とあったんですけど、自然に『ホテルローヤル』を手にとっていて。一緒に住んでいた母と交代で読んだのは思い出深いです。そして、『あっ、知ってる!』と思う台本を頂けたので驚きました」と、縁を感じたそう。

 雅代を演じるうえで、気合が入る部分もあったようで、「雅代は台本を読んだら静かに佇んでいることが多くて、周りの方の展開が多くて。台本でも、『雅代「……」』とト書きが多くて、これはそのまま臨むと、ただ突っ立ってるだけになるぞと思って、しっかり読み込で心情を把握していきました」と、準備を入念にしたそう。

 さらに、波瑠は、「雅代は踏み出すのが遅かったですね。親が残したラブホに、しょうがなくなのか、1回は受け止めて女将として過ごして、なんというか、見える世界が変わる瞬間があるんじゃないかって。1人の女性を演じていると、その作品が終わった後に幸せに送り出したいと思うところがあって雅代のラストは幸せに送り出せたという感じがしています」と、手応えを語ることもあった。

 安田は雅代の恰幅のいいお父さんという役どころのため、「メイクさんにフルメイクをしてもらって、周りのみなさんのおかげででき上がったと思います。自分の親父が室蘭の溶接工をしていて思い浮かべながらでした」と、演技プランを話しつつ、「老け込んだ感じでしたけど、きょうは(波瑠と)似た年齢くらいに見えると思います」と、茶目っけたっぷりのコメントで会場を沸かせた。

 一方、岡山は伊藤沙莉演じる自身の生徒とホテルローヤルを訪れる高校教師役を演じている。岡山としては、「台本から読ませて頂いたので、とっても大事なというか必要な役割だなと思いました。そこに原作にないからどうやっていこうというかはなかったです。生徒役の伊藤沙莉さんが同い年なんですけど、その2人で教師と生徒というのを作っていくのは試みとして面白いものになりそうだなと感じました」と、相手役の伊藤のことを少し意識したようだった。

 なお、ラブホテルが舞台となるが、武監督は桜木氏へ、細部まで思い出してもらって作り込んだそうだが、波瑠は「ラブホテルのことはよく知らないけど、リアルだなと説得力のあるセットでしたね。統一されているようでいてちぐはぐで、非日常だからそれでいいんだということを雅代の父が表現していて。ラブホテルという場所っていろんな人の関係とか記憶が刻まれるじゃないですか。そういうものをたくさん受け止めてきているお部屋なんだろうなって、思いを馳せたくなるような場所でした」とのことだった

 ほか、作品にちなんで、最近心が満たされたことはとの質問が。「私は、おなかが満たされると、心が満たされるタイプでして、おなかがすくと、わかりやすくいろんなことにイライラしちゃうんです。4月から外食が難しくなって、1人で食事をすることが多くなって、1人は好きなんですけど、無意識のうちに寂しかったんですよね。いろんなことに注意しながらお店ご飯を食べたらすっごく元気が出たんです。おなかを満たして心を満たしました」と、エピソードを披露することもあった。

 イベントではほか、本作に出演している松山ケンイチからもビデオメッセージが寄せられ実は北海道舞台の作品ながら監督からも止められなかったころから青森弁で演技していたというぶっちゃけ話があったりしつつ、波瑠から、「この映画のラストが好きだなと思っています。1人の人間が自分の人生を初めて自分で受け入れて肯定できて、そういう瞬間ってものすごくと尊いと思いますし、自分は愛されていたんだなという気づきとか、雅代の再スタートがとても胸に響くものがあって私はとっても好きなラストなんです。このキャンペーンで原作の桜木さんと、回らせて頂いたときに言ってらっしゃったんですが、『何かから積極的に逃げるということは変換すればものすごく前向きな行為なんじゃないかなと思うんです』と言われて。この作品にはそんなメッセージが込めらていると思います」と、思いの丈を語っていた。

 映画『ホテルローヤル』は11月13日より全国公開予定!

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