TBSの田村真子アナウンサーが3月20日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷でドキュメンタリー映画『田村真子 のと鉄道 明日へ向かう旅』(監督:矢島公紀・小池博/配給:TBS)トークイベントを矢島公紀監督とともに行った。
現在開催中のTBSテレビおよびJNN系列局の記者・ディレクターたちが現場で起こったことを世に送り出してきたドキュメンタリー『TBSドキュメンタリー映画祭2026』の16作品のうちの1作作。2020年に能登を旅した田村アナが、2024年1月1日に発生した能登地震後の地を再訪。「能登を忘れないで、この震災を教訓に」と願う住民の声を受け止め、復興へ歩む人々と向き合いながら、いま私たちにできることを見つめている。
今年1月に撮影したという本作。矢島監督は2年前までTBSに在籍していることもあり、本映画祭のために何かテーマはないかと声がかかった際に、以前取材した能登が今どうなっているのかに思い至ったという。田村アナを起用の際には田村アナ本人にTBS本社ロビー1階で直接オファーしたという。
そんな田村アナは震災当時「三重の実家に帰っていました。TVで見ていることしかできないどうしようもない、何もできないけれどただただ心配で……。あの時、出会った方々は大丈夫なんだろうかという気持ちで過ごして」という気持ちだったといい、「こんな機会を頂けるなら行きたいと」と、オファーを受けたそうだ。
そして訪れた能登で矢島監督は「5年前は綺麗な景色だったんです。でもいまは仮設住宅がいっぱい立っている。仮設住宅は波打ち際とかと良いところではないところに立っていて、そういうところを見るにつけ、能登は変わったんだなと感じて。『海岸が隆起してカニも獲れなくなっているんだ』と」という現実を伝えるとともに、田村アナも「瓦礫はほぼ撤去されていますけど、信号機や標識が斜めになっている場所があってみなさんそこで暮らされています。白米千枚田にも行ったんです。そこに行くまでの道路が波打っていたり直せない部分は、海岸が隆起でした部分に新たな道があったり。これだけの地殻変動があるような地震だったんだと感じました」と、見てきたことを伝えるとともに、そうした道路の復旧も「とてつもない時間がかかるだろうなと感じました」と話した。
震災後金沢へ移り住んだ方も多かったが、取材をしたのはそれでも能登に残った方々で、矢島監督は「その場所でしか作れないお酒、輪島塗とか文化を繋いでいくため、未来にこういった自分たちのものを残したい」という気持ちを持っている方々だという。
撮影に行く前の打ち合わせでは、矢島監督は田村アナについて「いまはバラエティーを担当されているので笑顔が似合いますよね?泣き顔、困り顔はあまりTVに出てこないと思います。そんな彼女なだけに『最初どういう表情したら良いですか』と聞かれて笑ってもいけないし、悲しみすぎてもいけないし。でも暗くならないようにと話していたんです。ですが、能登に残られた方たちは笑顔が素敵で、笑顔で迎えてくださるんです。だから、現地の方たちが(田村アナの表情を)形作ってくれました」と話した。
田村アナは後からつけるナレーションが印象深かったようで、「取材をさせてもらったみなさんは、一生懸命自分の経験や能登の方が感じている思いを伝えたいと思って話してくださるんです。そういった方のお話を聴いて、帰ってきてからナレーションをつけたんです。普段のお仕事だと中立的な第三者目線で読みます。けれど、今回は自分たちが行ってお話を聞いてきた方たちにアナウンスをつけるので、普段の形でナレーションをつけてしまうと、みなさんが伝えたいものが伝わらないと思って、普段より感情を乗せたいと思って、監督にアドバイスを頂きながらでした」と、気持ちの込め方も考えたそうだ。
そして田村アナからは「能登にたくさんの方が来てほしいです。映像に映っていない場所は綺麗な場所がたくさんあるんです。今の能登の姿を見てみようという気持ちになってもらえたらと思います。常に感心を持ち続けること、行ってみようかなと思ってもらえたり、能登のみなさんに寄り添ってほしいなと思います」と呼びかけるとともに矢島監督は「国から支援は潤沢ではありません。観光で普通に来てお金を落としてほしい」と伝えていた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ





