『第47回松尾芸能賞』贈呈式が3月30日に都内ホテルで開催され大賞を受賞した演出家・小池修一郎氏をはじめ受賞者の俳優・戸田恵子、曽我廼家寛太郎、西川扇藏、藤舎貴生、中村鷹之資、加藤登紀子、谷口裕和が登壇した。
日本の伝統ある劇場芸能を助成し、振興し、日本独自の文化、芸能の保存及び向上に寄与することを目的とし、昭和54年3月に設立された公益財団法人松尾芸能振興財団主催。『松尾芸能賞』はそんななかで、毎年、日本の文化・芸能の保存・向上に寄与した芸能出演者や演出・音楽・劇場芸能に高い技術を持つ方々を表彰している。
大賞を受賞した小池氏は、その贈賞理由として「日本のミュージカル界を牽引してきた演出家である。舞台、映画、文学からサブカルチャーに通じ、新鮮な素材をミュージカルに仕立てるセンスが光る。大きな功績は、『エリザベート』を巧みな潤色によって日本での大ヒット作へと導いたことだ。宝塚は勿論、東宝でも上演を重ね、早くも30年を迎えた。原作舞台を洗い直し、大胆に潤色・演出する手腕は折り紙付き。ミュージカルファンの信頼も厚い演出家である」との理由から受賞となった。
壇上で小池氏は「このご連絡いただいた時に、『本当に私なんですか?』とちょっと、聞きました。なぜならば、第1回が杉良太郎さんで、前回が松平健さんということで、その人々の並びの中、私のような裏方と言いますか……この賞に見合うかどうかというところは自分としては実感が沸いていなかったんです」と恐縮しきり。それでも「今トロフィーを頂いて『本当に選んでいただいたんだ』ということで改めて感謝いたしております」と、噛み締めるように語った。
そして、「日本の面白いエンターテインメント、素敵な娯楽を作るために、私もその一部になれればと思います」と話した。
その後、囲み会見ではこれまでに印象的だった活動のことを問われ1996年からの宝塚歌劇団版および東宝版の潤色・演出を一貫して手掛けるミュージカル『エリザベート』のことを挙げた小池氏は「30年『エリザベート』をやってきて、こういう栄誉に浴したんだと思います。でもこれをやるとなった時に、全くヒットすると思っておりませんでした。ちょっと難解な作品だと言われておりましたので。それで、やる時はすごく反対したんです、実は。『これ宝塚にやるの無理だ』と。でも、どうしてもやらなきゃいけないとなって、もし失敗したらどうするんだっていうのがどうしても自分の中に、強烈なプレッシャーとしてありまして。そうすると仕事としても演出家は辞めなきゃいけないだろうと思って」と覚悟していたことを告白。
そのプレッシャーを和らげてくれたのが小池氏の奥さんだそうで、頭がいっぱいになっているときに、「契約のことで交渉するのにウィーンに行く時に乗った飛行機のキャビンアテンダントの人と結婚したんです。そのキャビンアテンダントの方は、知ってる人だったんで、たまたま乗ってらして。その時に『何しに行くんですかとか聞かれて』。“この仕事を辞めなきゃいけないかもしれない。そうなったらしばらくは養ってくれるか?”というのを聞きまして。そしたら『大丈夫だ』と言ってくれたので……。結婚して30年になりますので、みなさん興味のないお話で申し訳ないんですけれども(笑)。そうやって自分の歩んで来た道というのを、ふと気がつくと、あんまり今まで考えたことないんですけれども。家族の支えもあってできてきたことかなというのをすごく感じます」と、馴れ初めエピソードと密接に結びついていることを告白していた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ



