俳優・齋藤飛鳥が6月中に京都市京セラ美術館で開催されている『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』を訪れた。
本展は、英国の国立美術館のひとつ・テート美術館の所蔵品を中心に、1980年代後半~2000年代初頭にかけて制作された英国アートと、「YBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」と呼ばれた若手アーティストたちに焦点を当てている。齋藤は国立新美術館で行われた東京展からの巡回を機に、本展のアンバサダーを務めるとともに音声ガイドも担当している。
会場にはバーバリーのシックなワンピース、耳元には牛とアヒルのピアスでユーモアを加えた出で立ちで現れた。
以下、公式インタビューの主なやり取り。
――齋藤さんは英国カルチャーのどんなところがお好きですか?
齋藤:イギリスは晴れの日が少なかったり、イギリスのバンドも皮肉めいたことを歌っていたり。映画も音楽もすごく知的だけど、ちょっとだけ意地悪が入るようなユーモアのバランスが好きです。あとファッションはどの時期も可愛いし、取り入れやすいのでとても好きです。
――今回の展覧会を鑑賞する前に触れておくと、より楽しめるカルチャーはありますか?
齋藤:私は元々イギリスのバンドが好きで。曲の歌詞の和訳を見ると、やはり社会風刺や政治について触れているものが多くて。私はそのことを何となく頭に入れた状態でこの展覧会に来れたので、「だから(あのバンドは)こういうふうに思っていたんだ」、逆に「この時代にこういうことがあったと言われているけど、本当なのかな」と思うキッカケになりました。前もってイギリスの音楽に触れていたら、もしかしたら入りやすいかもしれないです。
――2月の東京展の内覧会から、約4ヶ月ぶりに京都展で作品を観られていかがですか?
齋藤:4ヶ月前の私と今の私の心情が違うのか、会場の大きさも違うからなのかはわからないですが、多分京都展ならではの配置、作品と作品の距離感で、「あれ、東京で見た時ってこんな感じだったっけ?」と思う作品がたくさんありました。
――京都展で特に好きな作品は?
齋藤:1番印象的だったのは、壁一面に展示されたヴォルフガング・ティルマンスの作品たちです。写真の配置にも意図があったり、上から何cm、何mm下というところまでこだわられているというお話も聞いたので、より一層それぞれの写真の意味を考えたくなるし、今まで見えていなかった写真の良さも出ているような気がして、すごく好きです。
――齋藤さんは10代の頃にテート・モダンに行かれて、アートの境界線について衝撃を受け、本展の公式サイトに「アートは日常にあり、敷居なんて本当はなかったのだと感じます。この感覚に決着をつけるためにも、この展覧会を見届けられることを心から嬉しく思います」とコメントを寄せておられました。決着はつきましたか?
齋藤:ついたと思います。私はアートに詳しくないですが、この展覧会の良さは、絵も写真もあるし、立体作品も映像も音楽もある、全部の手法が集まっていること。日常にあるものがそのままアートとして使われていたりもするのですごく観やすいし、身近に感じられる展覧会だと思います。それに、アートに詳しくなくても「この人はこういうことが言いたいのかな?こういうことが言いたいけど遠回りして言ってるんだろうな」と考えるのは自由。ただ目の前にあるものを観れば、心が動く作品がすごく多い。だから敷居の高さを感じることなく、身近なものとしてしっかり刺激を受けられたと思います。
――10代の時の感覚が確信に変わったんですね。アートへの向き合い方も変わりましたか?
齋藤:この展覧会のアンバサダーをつとめてから、年に数回しか行っていなかった美術館に、月イチぐらいのペースで足を運ぶようになりました。それは、アーティストたちの表現に必ずしも共感しなくてもいいし、刺激を受けなくてもいい。ただ「観た」という事実だけでも自分的には意味があると思えて、幅が広がったから。意識を変えさせてくれたのはこの展覧会のおかげなのかなと思います。
――YBAの若いアーティストたちの発信する力、主張する強い意志を感じたということですが、齋藤さんご自身が声を上げたり、発信したいことはありますか?
齋藤:私は「声を上げることは大事」ということを声に出して言いたいですね。イギリスの90年代のネガティブな出来事を知った時、良いことばかりではないけどできるだけ心を平穏に保ちたいし、それによって自分の身の周りにも平穏をもたらしたい。やはり平和は大事だなと思います。
「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」は、9月6日(日)まで京都市京セラ美術館にて開催中。詳細は公式ホームページ(https://www.ybabeyond.jp/)にて。


