大阪・梅田芸術劇場メインホールの客席椅子が全面リニューアルが完了したことが9月9日に発表された。
今回の客席リニューアルは1992年の竣工以来初。1階席前方中央ブロックを千鳥配置に変更。2階席の配列も一部見直しを実施し、舞台全体をより見渡せる客席環境へ改善。1階席の通路幅を広げ、車椅子スペースも拡張。座席数はこれまでの1905席から1920席へと増加した。
以下公式レポート部分。
新しい客席椅子のデザインコンセプトは「華麗・躍動」で、深紅の色合いが客席空間に華やかさと品格をもたらします。座面には体圧をバランスよく分散させる構造「スパイラルサスペンション」を採用し、長時間の観劇での負担を軽減した座り心地を実現。以前の座席より奥行きをスリムにし、前席までの有効スペースも確保しました。また、背板は広がりを感じさせる扇形デザインとなり、面積を拡張したことで着席時などに手を添えやすいなど、機能性の向上に配慮しています。
客席リニューアル工事が終盤にかかる頃 、梅田芸術劇場メインホールの公演に何度も出演している城田優が来訪。2027年にはミュージカル『RRR』(3月~4月に同劇場で上演)や、ミュージカル『ファントム』(9月~10月に同劇場で上演)において、演出やW主演を担う城田優が、リニューアルされた客席の印象や、梅田芸術劇場への深い想いを語りました。
――リニューアルされた客席の印象や、新しい座席に初めて座ってみた感想をお聞かせください。
座席の色味が光沢感のある深いワインレッドになり、シャンデリアの輝くきらびやかな梅田芸術劇場メインホールに、非常に合っていると思います。とてもきれいでセンスが良くて、前の座席より断然気に入りました。それに座り心地もいいし、足元がすごく広い! 僕は背が高いので、観劇するときはいつも後ろにいる方を気にして、必ずこうやって(足を前に出して、沈むように座る)観るので、前席との間隔が広いのはありがたいです。
――1階席前方中央ブロックが、新たに千鳥配置になりました。
本当ですね。素晴らしい! 劇場へ観劇に来るとき、やっぱり座席はとても大事。特にミュージカルは上演時間が長いですし、お尻が痛くなってくると集中力がもたない、という方も多いと思います。このように機能性も考慮したうえで座席が新しくなることは、観劇する立場としても、舞台に集中していただきたいキャストやスタッフとしても、ポジティブなことでうれしいです。
――これまであった1階席通路の一部をなくし、通路自体の幅を広くしたほか、車椅子スペースも拡張されました。通路が広くなることについてはいかがですか?
演者にとってもお客様にとっても、いいことばかりですよね。入退場時の混雑緩和につながるし、我々キャストが劇中で通路を走ったりすることもあるので、これだけ広ければ安心です。車椅子の方への配慮もさらに増して、より使い勝手が良くなっていますね。先ほど舞台側から客席を見たのですが、その景色も通路が減ることですっきりしていて美しいなと思いました。この劇場には何度も来ていて、個人的に大好きな劇場なので、客席リニューアルには名残惜しい気持ちもありましたが、僕の印象としてはプラスの変化ばかりです。
――梅田芸術劇場メインホールの好きなところを教えてください。
劇場はやはりワクワクするような夢や憧れが必要だと思うのですが、この劇場は入口からゴージャスな世界観が広がり、高揚感が味わえます。2000人規模で収容できるキャパシティの劇場がそれほど多くないなか、これほど重厚感があるのは、東京の帝国劇場か、大阪の梅田芸術劇場か――というぐらいかと。(※現在、帝国劇場は休館中) 楽屋の導線も含めて非常に親しみが……。これは自分の思い入れの強さもあると思います(笑)。僕が出演してきた大阪公演の7割8割が、梅田芸術劇場での公演なので。大阪といえばこの劇場、このエリアというぐらい、東京以外で一番足を運んでいる場所です。
――俳優にとって客席でのお芝居や客席降りは、どのように感じるものなのでしょうか。
それは人それぞれで、舞台の上こそ夢のカーテンがかかっていると捉える方や、お客様の目の前での芝居が苦手と感じる役者もいるのかなと。でも僕は客席降りが好きで、お客様のテンションを感じ、役柄によってはお客様と掛け合いができたりするので楽しいです。作品の世界の中にいる没入感を与えられるひとつの要素だと思っています。これまで客席を使っていた『ファントム』はもちろん、『RRR』も客席降りはありますよ!
――梅田芸術劇場メインホールは、やはりミュージカルとの相性がいいですか?
そうですね。この劇場は音の反響がとてもいい。例えるなら、超高級な銭湯で歌っているような感じです(笑)。劇場が広くなれば反響も大きくなるのですが、僕は梅田芸術劇場のギリギリを攻める感じの響きが好きです。『エリザベート』や『ファントム』などビッグタイトルのビッグナンバーが似合う劇場だと思います。
――この劇場は1992年に「劇場飛天」として開場し、名称が変わるなか愛され続け、今年9月、34年ぶりに客席がリニューアルします。
時間というものは進んでいくもので、どうしても古くなっていくところがあるけれど、いい意味で年季が入り、歴史を重ねていく。34年間お客様の心をつかんできた劇場において、舞台を観るための一番のかなめだと思う客席の椅子がリニューアルされ、劇場の存在感や景色が変わると思います。僕らはまず舞台稽古のときに誰もいない客席を見るのですが、そこにお客様が入ると空気も響きも変化するんです。新しい客席で味わうその瞬間が待ち遠しいです。これから先、この劇場がどのように変容していくのかも楽しみです。僕もいつまでこの仕事を続けていられるかわからないけれど、20年30年とさらに年月が経ったとき、どんな未来が待っているのだろうと、ワクワクする気持ちがあります。
――今後、梅田芸術劇場メインホールでどのような作品を届けていきたいですか?
やっぱりこの劇場にはスペクタクルな作品が似合うと思います。僕が出演してきた作品で言うなら、『ダンス オブ ヴァンパイア』や、空を飛ぶ壮大な物語の『テイクフライト』もそう。スケールのある作品が似合いますよね。『RRR』も大ヒットしたインド映画を舞台化するもので、演出など半分オリジナルのクリエイティブなところがあります。同様に原作のある作品に多く携わらせていただいていますが、 いずれはゼロからオリジナルのスペクタクルな作品を、梅田芸術劇場さんと一緒につくれたらうれしいです。この2000人規模で収容できるキャパシティの劇場でやるには、それなりのイマジネーションを使って、大きな規模のものを生み出さないといけない。梅田芸術劇場メインホールの名に負けないプロダクションで、この劇場だからこそできる何かを届けたいです。
以上
全面リニューアルされた座席はミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』大阪公演初日(9月10日)よりお披露目となる。
取材・文/小野寺亜紀
撮影/ハヤシマコ





