歌舞伎俳優・市川染五郎が2026年5月より上演予定の舞台『ハムレット』(演出:デヴィッド・ルヴォー)を主演することが6月5日に発表となった。
人間の苦悩を深く描いた傑作として長きにわたり愛されているシェイクスピアの四大悲劇の1つ『ハムレット』。葛藤・狂気・裏切りが複雑に絡み合い、観る者の心に深く突き刺さる普遍的なテーマが凝縮されている。
父王の死と母の再婚に悩み苦しむ若き王子ハムレットを染五郎が演じることとなる。また、『ハムレット』といえば、祖父・松本白鸚、父・松本幸四郎もハムレット役を演じてきており、ストレートプレイ初出演、初主演で挑む。
ハムレットの恋人・オフィーリア役は當真あみ。さらに、演出はブロードウェイ、ロンドン、日本ほか各地で数々の話題作を手がけ、トニー賞に5度ノミネートされるなど、世界的に活躍する演出家 デヴィッド・ルヴォー氏が務める。
今回の発表にあわせ、染五郎、當真、ルヴォー氏からそれぞれコメントが寄せられた。以下全文。
●演出:デヴィッド・ルヴォー
『ハムレット』は何よりもまず、若者の悲劇です。そして、政治のシニカルな「現実」に支配された世界における、若者の命そして想像力の浪費の物語です。
シェイクスピアは繰り返しこのテーマに取り組みました――『ロミオとジュリエット』もその一例です。
この戯曲を今日上演するにあたり、初めて本格的にシェイクスピアに取り組む、類まれな才能の持ち主である染五郎さんとご一緒できることは、非常に光栄なことです。そして、透明感のあるあみさんも加わることで、若者の抵抗や反逆、そして彼らが私たちの未来にもたらす大いなる希望を探求する瞬間が訪れたと感じています。そしてこれは、シェイクスピアと、私たちが生きる現代社会との関係を改めて築く機会でもあります。
若者の喜び、愛、そして社会に対する視線は、これまでも、そしてこれからも、シニシズムという津波に対する揺るがぬ存在であり続けるのです。
●ハムレット役:市川染五郎
生きている「ハムレット」
歌舞伎もそうですが、シェイクスピア劇は現代人の価値観や感覚では理解しづらい部分も多いと感じます。
それをいかにして現代の方々の心に届けるか。
生きた演劇、生きた「ハムレット」を目指して取り組みたいと思います。
●オフィーリア役:當真あみ
この度、舞台『ハムレット』に参加させていただくことになりました。
舞台でのお芝居が初めてなので、お話を聞いた時は少し不安を感じていましたが、これまでも何度か舞台を観劇して、こういうお芝居を出来たらなと挑戦してみたい気持ちがあったので、不安と感じる以上にこの作品に参加させていただける事への嬉しさがあります。
演出家のデヴィッド・ルヴォーさんにもお会いさせていただき、優しく朗らかな方で、楽しみだけど少し不安でもあると話した際に、そう思うことは誰にでもあるから気にしないでと仰って下さいました。
そんな素敵な方の演出のもとお芝居が出来ることがとても楽しみです。
主演の市川染五郎さんを始め、素敵な役者の皆様の中で沢山学び、考え、一つ一つのお芝居と誠実に向き合いながら頑張っていきたいと思います。
以上
舞台『ハムレット』東京公演は2026年5月に日生劇場にて、大阪公演は2026年6月にSkyシアターMBSにて、ほか愛知公演を予定している。
<STORY>
デンマークの王子・ハムレットは、父王の急死と、直後に母ガートルードが再婚し、叔父クローディアスが王位についたことに深く苦悩していた。ある夜、父の亡霊が現れ、自らの死はクローディアスによる毒殺だったと告げられたハムレットは、復讐を誓い、狂気を装いながら周囲の反応を探る。疑心暗鬼にさいなまれ、恋人オフィーリアや友人との関係も複雑に絡み合っていく中、彼は芝居を利用して叔父の罪を暴こうと試みるが、その行動は悲劇的な連鎖を引き起こし……。