俳優・大竹しのぶ、宮沢りえ、成田 凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎一が10月9日に東京・歌舞伎町のTHEATER MILANO-Zaで「Bunkamura Production 2025 DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』NINAGAWA MEMORIAL」(上演台本・演出:フィリップ・ブリーン)を開幕。これにあわせてキャスト・スタッフからのコメントと舞台写真が公開となった。
大竹はリア王で初の男性役に挑戦。リアを甘い言葉で翻弄し、無残にも切り捨てる長女・ゴネリルを宮沢りえ。ゴネリルとリーガンを誘惑するグロスター伯爵の庶子で野心家のエドマンドに成田凌。リアの三女で実直であるがゆえにリアに勘当されてしまうコーディリアに生田絵梨花。グロスター伯爵の嫡子でエドマンドの策略によって勘当されてしまうエドガーに、本作が初舞台となる鈴鹿央士。リアの忠臣だったにもかかわらず追放され、その後変装して再びリアに仕えるケント伯に横田栄司。リアの次女でゴネリルと同じく言葉巧みに父を手玉に取り裏切る次女・リーガンに安藤玉恵。リアの精神状態を映し出す存在である道化に勝村政信。息子・エドマンドの謀略によって貶められるグロスター伯爵に山崎一がキャスティングされている。
●上演台本・演出/フィリップ・ブリーン
シアターコクーンで〈蜷川幸雄メモリアル公演〉をつくることは、私と英国チームにとって大変名誉なことです。蜷川さんの作品は、私がそれまで“シェイクスピアとはこういうものだ”と思い込んでいたすべてを根本から問い直させるものでした。
私にとって日本で演劇をつくることは、最初は“巡礼”のようなものでした。そして DISCOVER WORLD THEATRE シリーズで五本の作品を重ね、アーティストとして多くの挑戦と変化を経験した今は、それを“帰郷”のように感じています。
●リア王/大竹しのぶ(おおたけ・しのぶ)
毎日毎日が刺激的でした。そして、フィリップの集中力とエネルギーに脱帽。
私の役に関しては、怒り、悲しみ、絶望。そして、狂気というリアの激しい感情の移り変わりを楽しんで頂きたいです。
また、細部にわたる演出を観て頂きたいです。
とにかくスタッフ、キャストのみんなで心を一つにして稽古をしてきました。
そのエネルギーが伝わりますよう、頑張ります。
●ゴネリル/宮沢りえ(みやざわ・りえ)
演出家のフィリップのシェイクスピアへの愛と、リア王への深い解釈を感じる稽古は、刺激と感動が溢れる、宝物のような時間でした。
『演じるとは、他者が、発するものを敏感に感じる事が何より大切なんだ』というフィリップの言葉を胸に、リア王に挑む、しのぶさんのとてつもない魂と、キャスト皆さんのエネルギーを浴び、ゴネリルという役の人生を全うしたいと思います。
●エドマンド/成田 凌(なりた・りょう)
フィリップさんが発する言葉で、その場にいる人達の心が動く音が聞こえるときがあります。
ひと月前の面影がなくなったこの台本には、ボールペン1本分のフィリップさんからのメッセージ、メモ書きが書かれています。
私が演じるエドマンド。どうなるのか。幕が開いてどういう毎日を過ごせるのか、自分でも楽しみです。
このリア王、、お客さんとしても観てみたかった。客席にいたら、、嫉妬してるんだろうな。
●コーディリア/生田絵梨花(いくた・えりか)
フィリップさんの演出を受け、役を生きる皆さんを目の当たりにして、遠く感じていたリア王の世界が次第に血の通った現実として迫ってくるようになりました。
劇場入りし、美術や照明、衣装、響きも重なり合ったその息づかいに、身震いする日々です。
コーディリアは冒頭の幼さから一転、逞しく成長して再登場します。父への変わらぬ愚直な愛を根底に持ちながら、丁寧に紡いでいけたらと思います。
客席の皆さまと『リア王』を深く響かせ合える瞬間を、一員として心から楽しみにしております。
●エドガー/鈴鹿央士(すずか・おうじ)
フィリップさんから「You see, we see」と最初に言われたのがとても印象深いです。舞台上で僕が見えたものは、お客さんにも見える。という意味らしいです。この言葉はどんな時も忘れずに意識するようにしています。
僕が想像したものがお客さんにも見えているって、不思議なつながりが素敵だし大切だなと思いました。
早くお客さんたちとの繋がりを感じてみたいです。
エドガーは苦しい状況の中でも、生きることを選択し、少しの光でも掴んでいようとするとても素敵な人間です。
たくさんのことを経験し、目の当たりにして、成長していくエドガーは、僕には大きすぎるくらいの人ですが、真っ直ぐ楽しみながら演じることができたらいいなと思っています。
本当にものすごいものができていると思います。キャストの皆さんも音楽も舞台美術も衣装も、とてつもなく素晴らしいです。楽しみにしていてください!僕は、とにかく頑張ります!笑
●ケント伯爵/横田栄司(よこた・えいじ)
1日7時間、週6日を6週間。とにかくたくさん稽古をしました。フィリップさんやイギリスチームの教養とアイディアと芸術性に、我々日本人スタッフ、キャストが工夫と勇気と日本人らしさを注いだ作品になっていると信じています。劇場でしか味わえない演劇体験という“旅”を、客席の皆さまとご同行できたら幸せです。
●リーガン/安藤玉恵(あんどう・たまえ)
演出のフィリップさんはじめイギリスからいらした4名の方たちと一緒に、楽しくて、実りもあるお稽古でした。「犯した罪よりも犯された罪の方が多い」というリアのセリフが心に残っています。彼の生きた姿を目の当たりにして、出番を待つ椅子で泣いてしまう稽古は初めてでした。リアを荒野に追い出し、正気を奪う娘リーガンをしっかりやりたいと思います。
●道化/勝村政信(かつむら・まさのぶ)
海外の作品を上演する時は、文化、言葉の違いで、スタッフ、役者、みんな大きな壁にぶつかります。今回フィリップさんの戯曲分析が見事で、今まで理解が難しかった細部まで説明していただき、これまでにない深度で作品に関われました。
『リア王』にかなり近づいた気がします。でもそれを表現できる自信はありませんが。(笑)
僕は昔からシェイクスピアを避け続けて来ました。蜷川さんにも誘わないでくださいとお願いしていました。だから今回も逃げるつもりたでしたが(笑)、フィリップさんから直接 LINE が届きまして、逃げ切れずに確保されました。
道化は本当に難しい、厄介な役で、演出家によっては、まるで違う解釈になります。役名は、「道化」「アホ」ですが、非常に頭が良くて、リア王を楽しませたり、誰にも言えない正論をぶつけます。王様が裸だと唯一言える存在なのです。なので、久しぶりにシェイクスピア作品に参加させていただくなら、この道化という役が、ダメだった時に1番言い訳ができるかなと思いました。
見どころは、大竹しのぶ様という天才お化けが、さらに進化して、どんなラスボスになっていくのか(笑)、天才しのぶ様のリア王を是非目撃していただきたいです。
●グロスター伯爵/山崎 一(やまざき・はじめ)
「大変なことをやらなければやり甲斐もない。」これは、稽古中にフィリップさんからいただいた印象深い言葉です。
無自覚に人を傷つけてしまうことは私の中にもあります。グロスターはそういう人であり、目の前の真実(息子)に気付かない人間です。目を失う事で色々なことに気付いていく。人生とは何と皮肉なのか。
「感じるように見ております」という言葉が美しく悲しい。
『リア王』は多くのプロダクションで上演され、幾多の名場面を生み出してきた名作です。今回の『リア王』はそれらの傑作に負けない名場面を内包した力作だと考えています。どうかこの新しい『リア王』を劇場で体験して頂きたいと切に願っています。お待ちしています!
Bunkamura Production 2025 DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』NINAGAWA MEMORIAL東京公演は10月9日から11月3日までTHEATER MILANO-Zaにて、大阪公演は11月8日から11月16日までSkyシアターMBSで上演予定。
【ストーリー】
ブリテンの王であるリアは、高齢のため退位するにあたり、国を3人の娘に分割し与えることにした。長女ゴネリルと次女リーガンは巧みに甘言を弄し父王を喜ばせるが、末娘コーディリアは実直な物言いしかできず、立腹したリアに勘当され、それをかばったケント伯も追放される。コーディリアは勘当された身でフランス王妃となり、ケントは風貌を変えて素性を隠し、リアに再び仕える。
リアは先の約束通り、2人の娘ゴネリルとリーガンを頼るが、裏切られて荒野をさまようことになり、次第に狂気に取りつかれていく。リアを助けるため、コーディリアはフランス軍とともにドーバーに上陸、父との再会を果たす。だがフランス軍はブリテン軍に敗れ、リアとコーディリアは捕虜となる。ケントらの尽力でリアは助け出されるが、コーディリアは獄中で殺されており、娘の遺体を抱いて現れたリアは悲しみに絶叫し……。
撮影:細野 晋司