加藤シゲアキ「これが直木賞の力か」と実感した出来事は?書店員からかけられた印象的な言葉と「続けることが自分を受け入れてくれた小説界に対する恩返し」【会見ロング中編】

加藤シゲアキ「これが直木賞の力か」と実感した出来事は?書店員からかけられた印象的な言葉と「続けることが自分を受け入れてくれた小説界に対する恩返し」【会見ロング中編】3

 前編(加藤シゲアキ 小説「オルタネート」直木賞候補に内定で「本当に“ビックリ!!”」NEWS・増田貴久は「すごいことなんですよね?」で小山慶一郎は「すごいね」)より

 ――あらためて自分から報告する?
 加藤:あんま照れくさいので、いつもこういうことがあってもいちいち言わないんです。なんか僕自身もすごく嬉しいことですけど、あくまで候補ですし、はしゃがないように粛々と受け止めようという気持ちでいます。でも、祝ってくれるぶんにはとは思っています。

 ――祝ってもらうおねだりはしますか?
 加藤:どうなんでしょうね。そんな気持ちはないんですけど、逆にむしろされるんじゃないですかね、『おめでとう』って(笑)。それに小山くんこの間(『ぐるナイ』内の企画の)『ゴチになります』で21万円払っていたので、僕におごってくれというかもしれません。

 ――書き続けるパワーや思い、支えとかも会ったと思いますが。
 加藤:初めて書いたときは、自分がグループにとってなにかできないかと思った部分もありましたし、自分自身試してみたいという思いもありました。でも、ここまで続けてこれたのは、本当にたくさんの方の支え、ファンの方の支えもありますし、書店員の方々のおかげです。初めて『ピンクとグレー』で書店を回ったときに、『1作目は応援できるけど、書き続けないと応援し続けられない』『応援し続けたいから書き続けてください』と言われたのが印象的で、僕自身もいっちょ噛みしたと思われたくなかったので、本気で小説を書くという覚悟は伝えたいなと思っていたので、続けることが自分を受け入れてくれた小説界に対する恩返しかなと、そうした思いです。続けているうちに、ルーティーン、ライフワークになって、小説を書くのは正直当たり前の生活にいつしかなってましたね。

 ――直木賞発表の1月20日までどんな気持ちで過ごすことになりそうですか?
 加藤:あまり考えないようにしたいなと思っています。いままでは、いち読者で、直木賞、芥川賞の選考はとても楽しみにしていて、作品を読んで、書評したりして。まさか自分が書評される側に行くと思っていなかったので、考えれば考えるほどドキドキします。選考委員の方々の批評が厳しい目であることも知っているつもりなので、ここは煮るなり焼くなりという覚悟でもありますし、ここまで来れただけでも十分だなと思っています。あとは淡々と過ごしたいとは思っています。

 ――とはいえ、受賞を狙いたいのでは?
 加藤:いやあんまり、考えていないです。本当にこういうのはもう、あんまり考えない、本当にはしゃがず。本当に十分なんで。

 ――候補に選ばれた理由は分からないとおっしゃっていましたが、候補になった説明はありましたか?
 加藤:ないです。いろんな編集にかかわってきた方からは、こうなんじゃないか、ああなんじゃないかと言われましたが、理由は僕は聞いていません。

 ――周りからはどんな話が?
 加藤:自分で言うのもちょっと照れくさいですけど、『いままでで一番いい作品だった』と、数名の編集の方から頂きました。どうですかね、いまこの時代に、マッチングアプリというものがありますし、偶然にもコロナのタイミングでリモートであったりとか、デジタル化が進んだタイミングでそういったマッチングアプリという存在、SNSという存在がもしかしたら、時代と多少合ったところもあるのかなと。でも選考委員の方々は本を選ぶという段階で、何度かの審査を経て候補になったと伺っていますので、認めてくださった方がそれだけいるだけでも、十分かなと思っています。

 ――これまでの5作品と何か違いは?
 加藤:いままで以上に、(登場キャラクターが)若いということや、いつもいままでは僕自身が読んで楽しいもの、読者を自分として想定して書いていましたが、今作は、自分ではもっと広く愛される作品を書いてみようと。読んでいる間、ずっと楽しい作品を。とにかく楽しく小説を読んでもらいたい。いま、若い方で本を読まない方も多いので、読書の楽しさというのを、もしこのタイミングで伝えられたらというのが、実は一番意識していたことだったので。なので、文学賞を狙うぞみたいな意気込みというより、楽しい作品を書こうという意識はすごくあったので、本当にビックリしているというところはありますね。

 ――いままでの直木賞のイメージは?
 加藤:そうですね……芥川賞の純文学と比べてより広く愛される、娯楽小説的な部分が多い。かつ、最近の傾向としては、社会的な目線が含まれているものという印象はあります。話題になる文学賞です、(小説界の)中にいるといろんな文学賞を知ってるし、すごい素晴らしいものだと知っているので、直木賞は憧れの1つではありますが、だんだん分からなくなってくることも実はあったりするんです。でも、このお知らせを聞いたうちの……弊社の人間の喜び方が異常であったりとか、発売イベントの会見(11月21日開催)のときよりも、きょうたくさんの(記者の)方が来てくれているので、これが直木賞の力かと、あらためて実感しています(笑)。

 ――会社の方はなんて喜んでくれたんですか?
 加藤:『すごいな!』みたいな。『すごい』しかみんな言わないんです。ちょっと紛らわしかったのが、僕が(コロナから快癒して)仕事の復帰のタイミングで、事務所の方々に、迷惑をかけたので行ったタイミングで、みんな『おめでとう』と言ってくれるですけど、それが復帰おめでとうなのか、そう言ってくれる方が直木賞候補に選ばれたことを知ってておめでとうなのか分からなくて、『何に対してのおめでとうですか』と聞いてしまって。数名はこの知らせを受けた方々がいたので、直木賞のことですと。こんなにおめでとうと言われることは正月前にはないなと思っていて。影響力のすごい文学賞なんだなとあらためて実感しました。

 後編(加藤シゲアキ「若い読者の方に本の楽しさを」!丸山隆平へ「お礼も言いたい」【会見ロング後編】)へ

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