落語家・桂文枝が12月12日に東京・吉本興業内で『桂文枝 新春特撰落語会2026』取材会を開催した。
毎年恒例で今年で21年目を迎える文枝による新春落語会。世に送り出した340作を超える創作落語の中から、今回は、“三枝”時代(1980年代~2000年代初頭)の代表作を口演する。
会見場に入場してきてお辞儀し、会見の机の前に立ち深々と何度も丁寧なお辞儀をしながら現れた文枝。「何度も頭を下げると悪いことをしているみたいだ」と冗談めかして、さっそく報道陣の笑いを誘うことに。
2025年12月より落語家としての活動が60年目に突入した文枝。今年82歳を迎え「(桂)米朝師匠は僕と同じ82歳でぼんやりしはじめたらしいので、これからが僕も1つずつが勝負です。落語を忘れないようにしっかり稽古して臨みたいと思います」と意気込む。この公演のために、アミロイドPET検査というアルツハイマー病の原因物質とされる「アミロイドβ」が脳内に蓄積しているかを調べる検査も受けているそうで「この日のために言葉を忘れないように万全の体制で臨みたいです。ただ、まだ結果は聞いてない」とオチをつけて報道陣を爆笑させつつ「けど、たぶん大丈夫だろうと」と、自信を見せた。
けいこの話題が振られると「若いころはあまりけいこをしなくても頭に入ったんです。いまは、若いころよりもけいこしないといけない。落語家として今一番けいこして充実しているときです」とのことだった。
自身の健康状態については、「お酒・タバコはやらないし、あとなんかあったらすぐに病院に行ってます。糖尿病の検査から歯医者に耳鼻咽喉科、街の医者から北の病院まで行っていて、年に2回検査をしています。病気になるのが1番怖いんです。(仕事に)穴を開けるので」と、プロとのしての矜持を窺わせる。
ただし、「いまのところでどこも悪くなくて」ということによって、「それがいいのか悪いのか分からないですが、マネージャーさんには82歳になっていると感じてもらえなくて、いろいろ仕事を頂いていて」と、息をつく暇もないのだそうだ。
また、現在、文枝は『参地直笑祭』と大阪23区を1区1区創作落語で巡る公演も行っており、今月14日に行われる西成区での公演をもって24区すべてを達成する。事の始まりは、現大阪府知事の吉村洋文知事が大阪市長のときに文枝に23区で1区ずつその区に沿った創作落語をしてほしいというオファーがありそれを受けた形だそう。8年かけて完結を迎えるが、自身として本来なら「80歳までに終えたかったんです」と本音もポロリ。新型コロナウイルス禍の期間が公演などができず「会場がワクチンの接種会場に変わったり、3年間落語ができなくて」と苦労があったり、オファーをしてきた吉村知事が大阪都構想をあげ、区がなくなるのではと尋ねたところ「そんなにすぐにはそうなりませんので」という返答があったことも話していた。
会見中椅子が用意されていたが、記者が質問するたびに立ち上がり、ほぼ座らずに約30分間の会見を終えた文枝。「できるかぎり良い舞台を務められるように頑張っていきたいと思います!」と意気込んでいた『桂文枝 新春特撰落語会2026』は2026年1月10日と1月11日に東京・有楽町朝日ホールにて。
■演目
◯『効果音の効果は効果的だったかどうか』(1983年)
◯『涙をこらえてカラオケを』(1989年)
◯『背なで老いてる唐獅子牡丹』(2003年)
◯『赤とんぼ』(2007年)
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ



