俳優・吉沢亮が3月13日に東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールで開催の『第49回 日本アカデミー賞』授賞式に登場した。
吉沢は映画『国宝』で優秀主演男優賞を受賞。ほか、妻夫木聡、長塚京三、『SixTONES』松村北斗、山田裕貴も受賞となり同席した。
吉沢が主演した映画『国宝』は作家・吉田修一氏の長編小説が原作。任侠の息子の主人公・立花喜久雄が歌舞伎役者となり、ライバルと切磋琢磨して芸に人生を捧げる物語。作品は大反響を呼び、2026年3月時点で興行収入200億円を突破している。
役作りへ吉沢は、「このお話をいただいた時は何度か歌舞伎を見に行ったりはしてはいた。けれど、女形の大変さみたいなことも何も知らない状態でお話をいただいていたんです。オファーを受けて、憧れの李監督の現場で主演でっていうことで、『ぜひやらせてください!』っていう形だったんです。そこから1年半ぐらいずっと歌舞伎のけいこを重ねていくうちに、一年半っていう時間があるとはいえ、実際の歌舞伎役者さんは子供のころから何十年も積み重ねて1つの芸を磨いて、舞台に立っていらっしゃるみなさまなので、一年半かけたところで到底足元にも及ばないっていうのは、もうやればやるほど分かってくるというか。『これ絶対間に合わないな』って思いながら、それでももうやるしかないっていう、ある種の意地みたいなもので、きょう隣に座っている横浜流星とずっと励まし合いながら、どうにか、やりきったって感じですね」と回想する。
続けて、作品の裏話を深堀りしていく。俳優・森七菜とのビルの屋上でのシーンへ「僕も結構印象には残っていて。実際その撮影が始まるまでは、このシーンは夜に撮るっていう予定だったんです。けれど急きょ監督が日が落ち切る前の30分ぐらいの時間で撮りたい、ってなって。急きょみんなで急いで支度して、30分しかない中いろいろリハとかやってカメラ回しながら撮ってたんです。元々ちょろっとしたセリフとか書いてあったんですけれども、もうほぼほぼアドリブみたいな感じです。監督が僕のところに来て、なんかポソッと言って、森七菜ちゃんのところに行ってポソッと言って、『じゃあやってみましょう、よーい、どん』みたいな感じで。ほぼほぼその場で生まれた空気を拾っていくみたいなのがあのシーンだったんです。なんかやっていて非常に楽しかったですし、3テイク撮って、3テイク目が使われてるんです。その3テイク目の時に監督が僕のところに来て、『森さんの顔をずっと見ていてくれ』って言われて、『わかりました!』って、始まってパッてずっと見てたら、(森のセリフで)『どこ見てんの?』って言われるっていう(笑)。『なんでそんなこと言われたんだろう?』とか思ったんですけど、それを言われた時に、喜久雄という人間性の、核心を突かれたような気がしたというか……。これだけ近くにもいるのに、なんか視界にも入っていない、たぶん自分の芸のことしか頭にない人間の言葉が発せられた感じがして。あそこは喜久雄という人間を僕自身も再確認できたシーンだったなっていうので、非常に印象に残ってます」。
ラストシーンの鷺娘(さぎむすめ)を踊るシーンについては、「撮影は3ヶ月間の撮影でたぶん2ヶ月過ぎたぐらいのタイミングで撮ったんです。それまでの踊りのシーンって基本的には朝から晩まで監督がオッケーっていうまで何十回も踊っていろんな角度から撮ってたんです。この鷺娘に関しては映画のラストっていうのもあるし、『本当に2、3回しか(カメラを)回さないから、もう最初から最後までこの2、3回で踊り切ってくれ』と言われて。ただ綺麗に踊ることよりも、喜久雄としてここまでの人生、その描かれてる部分も描かれてない部分も役者として生きてきた人生をある種昇華させるような気持ちでやってくれっていう監督からの演出があり、僕もすごい、一生懸命やってたんです。このシーンを撮ってる時は本当に自分の呼吸音しか聞こえないぐらい集中しきって撮れたというか。感じたことのない空間に、このシーンは連れてってもらったなっていう感じがして、僕自身もすごく印象に残ってますね」と、いわゆるゾーンに入ったのではないかと窺わせるようなエピソードも披露していた。
その後、最優秀主演男優賞に吉沢が輝いたことが発表となった。(最優秀主演男優賞スピーチ記事:吉沢亮『第49回 日本アカデミー賞』映画「国宝」で最優秀主演男優賞!横浜流星に厚い感謝【スピーチノーカット】)
文:水華舞
※記事内写真は(c)日本アカデミー賞協会



