昆夏美、大原櫻子、海宝直人、村井良大ら「この世界の片隅に」開幕記念会見

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会見が開催(撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ)

 日生劇場5月&全国ツアー6・7月公演 ミュージカル『この世界の片隅に』(脚本・演出:上田一豪)開幕記念会見が5月10日に東京・日生劇場で開催。浦野すず役の昆夏美と大原櫻子、北條周作役の海宝直人と村井良大、音楽を手掛けたアンジェラ・アキが心境などを語った。

 太平洋戦争下の広島・呉市に生きる人々を描き、2度にわたる映画化、実写ドラマ化もされている漫画家・こうの史代氏の漫画作品が原作。つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれることから産み出される、生きることの美しさが胸に迫る作品となっている。

 前日9日より上演となった本作。前日に舞台に立った昆は「お客さまが来てくださることで作品が誕生するのは本当だなって感じています。どういう作品が目の前に繰り広げられるんだろうってワクワクしたりソワソワした感じが伝わってきて。最初はし~んとしていたんですけど、舞台が進むと、劇場が一体になっていく感じだったり、笑いや拍手をあらためて肌で感じて。届いているのかもっていう印象で初日を迎えられました」と手応えありと言った様子。同じく舞台に立った海宝は「世界初演のミュージカルなので観客のみなさまも演者も、緊張から始まりました。そんななかで、本当に温かくお客さまに迎え入れて頂いて、とても高い温度を感じていて。とてもいい初日を迎えられたと思います」と、しみじみ。

 本日夜に初日を迎える大原と村井は、ゲネプロをしたという。インタビューアーから心境を色でたとえてほしいと振られ、大原は「オレンジです。昨日のお2人の初日を観させて頂いたときも、お客さまを見たときに高い気持ちで劇場を出られるなって感じています」といい、村井は、「先ほどゲネプロを終えた時に、青色だと感じました。いま自分でもびっくりするくらい冷静なんです。そこで情熱の赤を混ぜて紫色にしないとと思っています」と、意気込みとともに語った。

 一方、アンジェラは音楽を作るアプローチとして「いくつも苦労した点があります。原作が持っている温かさ、ピュアさをどう音楽にするか、演出の上田さんが素晴らしい脚本にしてくださったのでそれをどう表現するか」と思い悩んだ部分もあるそうだが、舞台台本を読んで「すごく読みやすくて!読みやすいからどの曲から作ろうかとなったときに、きょうはここと(適当に台本を)開けて、そのページから作ったんです。それが『醒めない夢』という曲でした。その『醒めない夢』という曲ができたときに、見えた!と感じたものがあって」と、以降曲の方向性が決まったのだそうだ。

 また、アンジェラにとっては、2014年の渡米からミュージカル音楽作家として10年ぶりに再始動となる作品となり、「この作品とともに4年近く時間を費やしてピアノで作ってきたものが、演者さんの声を通して新しいものとして生まれ変わっている感じがしています。お客さまと一緒に作っていくからだなと思っています。自由な作品が生まれているような感じです」と心境を語った。

 そんなアンジェラが気持ちを込めて作り上げた楽曲を観客を前に披露した昆は、「役者が越に入ってはいけないと思うのですが、没入感高い曲が多いなって感じました。きょうの公演を客席で見たいなと思いますが、客席で見たときにどういう印象を受けるのか楽しみなんです」といえば、村井も「曲が耳に残り、役を忘れて歌えなくなっちゃうんです。本当にに耳にも心にも残る温かさがあるんです」と、ベテランの俳優でも思わず引き込まれる仕上がりを窺わせていた。

 けいこ場の話題へ。海宝がアンジェラがけいこ場の隅のピアノで演奏に参加していたことへ、「ぜい沢だなって感じていたんです」と、生演奏を聴いて感動していたそうだが、それはアンジェラも気持ちは同じだったようで「こんな演技を目の前で見れるんだ!って(笑)。けいこを観せるだけでもお金取れると思うくらい素晴らしい体験をさせて頂いています」と、返していた。

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けいこを通して4人の距離も近づいたよう

 ほかにもオススメシーンの話題が振られるとどのシーンもお気に入りなのかキャスト4人で「どうしよう!」と顔を見合わせながら笑いあう和気あいあいといった様子も。村井はスイカのシーンといい、そこは本物のスイカを食べているそうだがとにかくおいしいスイカと盛り上がる様子も。大原は自身の名前に入っていることに縁を感じた桜のシーン、昆は幕が開いた直後の序盤のシーン、海宝は小野塚勇人と小林唯がWキャストで演じる水原哲とすずのシーンの音楽や表現の仕方を挙げていた。ちなみにアンジェラはすずと妹のすみが会話するシーンだそうで「けいこで観ていたときに、1度も涙せず見ないということができなかったんです」と、心揺さぶられるものだったそうだ。

 そして大原から「戦時中のお話です。多くの方がもしかしたら暗い気持ちになるのではないか……と、思われているかもしれません。たしかに、戦争の悲惨さも描かれていますが、重きを置いているのは、すずが居場所を探していく普遍的なお話です。観たお客さまが笑顔で劇場を後にされる。そんな温かい作品になっていると思います」とアピールし、昆からは「原作をリスペクトしつつ、ミュージカル化するというのですごく考えながら作っていったけいこ期間でした。作品の持っているメッセージなどを感じて頂ければ」と、メッセージを寄せていた。

 ミュージカル『この世界の片隅に』東京公演は5月9日から5月30日まで日生劇場にて、北海道公演は6月6日から6月9日まで札幌文化芸術劇場 hitaruにて、岩手公演は6月15日と6月16日にトーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)にて、新潟公演は6月22日と6月23日に新潟県民会館大ホールにて、愛知公演は6月28日から6月30日まで御園座にて、長野公演は7月6日と7月7日にまつもと市民芸術館にて、茨城公演は7月13日と7月14日に水戸市民会館グロービスホールにて、大阪公演は7月18日から7月21日までSkyシアターMBSにて、広島公演は7月27日と7月28日に呉信用金庫ホールにて上演予定!

 取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ

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