舞台『W3 ワンダースリー 』(演出:ウォーリー木下)取材会が6月6日に東京・歌舞伎町のTHEATER MILANO-Zaで開催され主演のアイドルユニット『KEY TO LIT』井上瑞稀はじめ、平間壮一、永田崇人、松田るか、相葉裕樹、彩吹真央、中村まこと、成河、演出のウォーリー木下氏が出席した。
漫画家・手塚治虫が1965年から1966年まで『週刊少年サンデー』に連載した作品で、手塚の目を通して、地球の偵察に来た3人の宇宙人たちと少年・星真一が、未来のためにできることは何かを探していく物語。手塚の目を通して“豊かさ”とは、“悪”とは、“正義”とは、を問いかける。
ウォーリー氏は明日に本番を控え現時点の出来として、「絶賛舞台げいこは順調に進んでいます。けいこ場では何も(セットが)ないところで作っていましたが、役者の演技がうまくついて行ってて、観たことがない世界ができつつあります。『W3』という作品は7年前からかかわりはじめて、いろんな大好きなモチーフを入れていて、それを演劇で作る難しさを感じながらですが、高い山でも登りたいと思いながらやっています。なんとか頂上が見えそうですので楽しみにしていてください」と、手応えありといった様子。
どんな作品になるのかへは、「作品のテーマ自体は真正面から戦争をどう防ぐかという事を考えたものになっています。登場人物全員が、そのテーゼをいろんな形で見ながら、成長させながらぶつかりあっていくハードコアな作品です。手塚先生は戦争というものをしっかり描かれていて、どう演劇という形でやるかとなたときに、僕が1つ決めたのが子供の遊びのように、このテーマに向かっていく感じにするということでした。大上段で芸術的な美しいアプローチもしてはいますが、まずはお客さんが一緒に考えることになるといいなというところを意識して、“僕も小さいころこんな遊びをやった”とか、“見えないものを見よう”というのをしていたとか。あとはスタッフと役者がそれらをどう表現するのかというので作ってきました。舞台上では、その過程を含めて感じてもらえると思います。やりたいことはテーマを磨きたいということですので、そこを楽しみにしていてもらえれば」と、話した。
会見では永田、松田、相葉は宇宙人設定の奇抜な衣装をまとっていたが、松田は第っせいから「地球のみなさまよろしくお願いします」となりきってあいさつで沸かせることも。さらに、動物の人形も登場し人形劇団ひとみ座のスタッフも操演するそうだが、松田はけいこ場で「動物たちにはメロメロになってました」と、ポイントも挙げていた。
また、主演の井上はなにかの機会にどうしてもウォーリー氏に聴きたかったことがあったという。それが「脚本の福田響志さんとご飯に行かせて頂いて、ウォーリーさんとはミュージカル『ルーザーヴィル』以来2度目なんです。それで僕の演じる真一っていう役は、原作の真一とは違う問題児というか、内側にこもるような真一になっているんです。そういう真一を描くとなったときに、ウォーリーさんが『こういう問題にするなら井上瑞稀がいいんじゃないか』ということで、“令和の問題児”キャスティングされているんです。それどうだったんだろうって思って」と、自身がなぜキャスティングされたのか疑問に思ったという。
するとウォーリー氏は「一緒に2年前にやったときに、けいこ場で1回もしゃべらなかったんです。ずっと何かを書いてたんです。“何考えてるんだろ?”って逆に興味を持って、僕の方から話しかけるくらい。でも、劇場に入ってから焦ったのかめっちゃ声出しを始めたんです。そのとき“あっ、この子、普段はあまりしゃべらないけど、めっちゃくちゃいろんなこと考えてるんだ。その考えを爆発させる瞬間を、劇場まで待ってたんだ”って。だから今回の役を考えるときのモチーフになっているくらい」と、思わぬ裏話が飛び出し井上はビックリしながら苦笑いしつつ聴き入る様子が。
さらに、井上は心当たりはあるようで「本当にしゃべるの苦手なんで、ワークショップとかでも、いろんな人に話しかけて頂きました」と、キャスト陣に感謝。すると、平間は「黙ってる姿がどしっと構えてるように見えるんです。だから恐れてるんです」と井上の肩をぽんぽんと話したり、井上に話しかけていないという成河も「けいこの最終日にお辞儀してとなったときに、急にしゃべりだしたんです。『スタッフのみなさんありがとうございました』『みなさんでこのまま頑張っていきましょう!』って言ってて。そういうのを構築しながら考えてる座長ぶりが素晴らしかったです」といい、そうやって声を上げたタイミングへ「ここだと思ったんだよね(笑)」と振られた井上は笑顔でうなずいていた。
舞台『W3 ワンダースリー 』東京公演は6月7日から6月29日にTHEATER MILANO-Zaにて、兵庫公演は2025年7月4日から7月6日に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演予定!
【あらすじ】
日本の田舎にある小川村に住む星真一は漫画を描くことが好きな少年だった。
2024年、宇宙にある銀河系のすぐれた生物の集まりである銀河連盟では、地球の存続について激しい口論が繰り広げられていた。多数決は同数で決着がつかず、銀河連盟は調査員を派遣して地球の様子を探らせることにした。
W3(ワンダースリー)と呼ばれる銀河パトロールのボッコ、プッコ、ノッコの三人は、地球人に怪しまれないように、それぞれウサギ、カモ、馬の姿に変身し、小川村に潜入し調査を開始する。そこで彼らは真一と出会い、行動をともにすることになる。
一方、真一の兄、光一は家族にも身分を隠し秘密諜報機関フェニックスの一員として、兵器の開発拠点となっているエーグニ領のユダ島へ潜入していた。そこで待ち受けていたのはエーグニ警備隊のランプ少佐だった。
真一とワンダースリーは次第にランプの野望、群衆の混乱に巻きこまれていく。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ