「怒られるの大前提」中井貴一 小津安二郎監督モチーフ『先生の背中』会見!芳根京子緊張

「怒られるの大前提」中井貴一 小津安二郎監督モチーフ『先生の背中』会見!芳根京子緊張3

(撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ)

 パルコ・プロデュース 2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』(演出:行定勲)プレスコールと開幕前会見が6月7日に東京・渋谷のPARCO劇場で開かれ俳優・中井貴一、芳根京子、柚希礼音、土居志央梨、藤谷理子、升毅、キムラ緑子らが仕上がり具合などを披露した。

 行定氏が、中井に「ぜひ、小津安二郎と昭和の映画界の話を演劇作品にしたい」というオファーから始まった企画。中井家と小津監督は家族づきあいのような親交があったといい、本舞台では中井家に伝わるエピソードや思い出、当時の古き良き映画界への想いを織り交ぜ、そこに流れていた豊かな時間を“小津調”で、演劇作品となった。なお、中井が劇中で演じるのは小津安二郎監督ではなく、小田昌二郎と名前を変えたものとなっていることも特徴となる。

 プレスコールでは4シーン公開。そのなかで、中井演じる小田が、娘のようにかわいがっている食堂の看板娘・幸子(芳根)、名女優・谷葉子(柚希)、元芸者・花江(キムラ)、戦争未亡人・和美(土居)、銀座のホステス・千代(藤谷)が勢ぞろいで囲まれて困り果てるという一幕もあり、作品の雰囲気の一端を窺わせていた。

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 会見で、中井は「小田昌二郎という映画監督で、この人の一生というか、晩年期に一本の映画を撮るときに自分の人生と今の映画と葛藤しながらの監督を演じさせて頂きます。小津安二郎という監督がモデルですが、フィクションなので、小田昌二郎という名前になります」と、別人であることをアピール。さらに、芳根演じる幸子は中井の実の母、柚希演じる女優は原節子をモデルとしている。

 今回の企画は行定氏が中井に熱烈オファーを送ったことで成立したという。行定氏はこれまで巨匠の話などを聞き、それを最初映画にできないかと模索していたそうだが、「映画を作るというのは大事すぎて、どうにもならなかったんです。そんなときに、PARCO劇場さんがまずは演劇から」という声をかけてくれたことで実現したそう。

 中井の名付け親は実は小津監督なのだそうで、そうした縁もあり、行定氏は主演を、「小津安二郎をやる人は中井さんしか居ないだろうというところから着想しました」という。しかし、中井としては、「最初は断りました。最初はもう少し話が小規模で、大船の撮影所の前に母の勤めていた月ヶ瀬食堂があったのですが、舞台のタイトルも月ヶ瀬食堂というタイトルで『中井さんが生まれる前までやりたいんです!』と言われて。そんな、てめぇの生まれるまで……というので。脚本を呼んで、『小津イズムは古く残っていますし、どうかほかの方でおやりになってください』と申し上げてお断りしたんです」と、経緯を説明。ではなぜ、引き受けたのかへは、「行定監督の『映画人として舞台として残していきたい!!』という、その熱意にほだされて、天国に行ったときに、小津先生に怒られるのは俺が良いだろうなと思ってお受けしました」ということがあったそうだ。

 記者からは小津さんはなんて言う?という質問が飛んだが、中井は「『俺はあんなんじゃないよ!』と、言われると思います」と笑いつつ、「こんな美しい女性たちに囲まれています。フィクションですけど文句を言われると思います」と話していた。

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 続けて、芳根は中井の母をモチーフにしていることへ、中井は「(芳根から)“私合ってますか?”って聴かれて、こんな綺麗で可憐な方ではないのですが、時々見ていて母っぽいなって思うところがあるんですよ」と、似ている部分があるそう。当の芳根は「初めて中井さんのお母さんをモデルにと聞いたときからずっと緊張しているんです」と硬くなりつつも、「でも、お母さんのお話を聞く貴重な機会を頂きました」と、話を聞く楽しみもあったそう。

 ちなみに、芳根は舞台出演は6年ぶりだそうだが、「本当にご迷惑をかけしてしまって頂いているんですが、みなさんに助けていただいています」と、キャスト陣に頭を下げていた。

 通しげいこをしてみて行定氏は、「舞台は生モノだと思いました。きょうしかないシーンを先程観ましたので。観ている側もスリリングだと思います。演出家として心が動く場面が多々会って。そういう場面も含めて、空気を味わっていただいて、昭和の映画界というのがみなさんに少しでも伝わればと思います」と、メッセージを寄せたり、中井からは「怒られるのを大前提にやらせて頂いてます。この劇場に来てくださったみなさまに、小津安二郎の映画を観てみようと思ってもらえることが、恩返しになればと思っています」と、気持ちを語っていた。

 パルコ・プロデュース 2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』東京公演は6月8日から6月29日までPARCO劇場にて、大阪公演は7月5日から7月7日まで森ノ宮ピロティホールにて、福岡公演は7月11日と7月12日にJ:COM北九州芸術劇場大ホールにて、熊本公演は7月15日に市民会館シアーズホーム夢ホールにて、愛知公演は7月19日と7月20日に東海市芸術劇場 大ホールにて上演予定!

 取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ

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撮影:宮川舞子

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撮影:宮川舞子

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撮影:宮川舞子

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撮影:宮川舞子

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撮影:宮川舞子

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