『第62回ギャラクシー賞』授賞式が6月2日に開催。ラジオ放送をインターネットで聴取できるサービス『radiko』(ラジコ)がフロンティア賞を受賞した。
『ギャラクシー賞』は、テレビ、ラジオの番組、関係者といった放送文化の発展と向上に貢献した番組や個人、団体等を称える賞として毎年放送批評懇談会が開催している賞となる。『フロンティア賞』は「コンテンツや知識の新境地を獲得し、その未来や可能性を広げる意欲的な取り組みを評価・応援」の賞となり、放送批評懇談会の理事や委員により選ばれる。
radikoの受賞理由として司会から「いつでもどこでもラジオが聴ける新しい聴取体験をリスナーに提供し、さまざまなサービスを駆使してラジオ業界に想像力と跳躍の可能性を与えました。ラジオとテクノロジーを融合させた新たな放送文化の担い手に敬意を評します」と読み上げられた。
壇上には株式会社radiko取締役マネジメント推進室長 兼 テクノロジー推進室補佐の岡田真平氏、同社のプラットフォーム推進室 プロデュースチームリーダーの椎名剛史氏、同社のテクノロジー推進室長の掛原雅行氏の3人が登壇した。
岡田氏は今回の受賞へ「radiko15周年の年に、このような素晴らしい賞を頂きありがとうございます。radikoは2010年に放送の新たなリスナーの獲得を目的にスタートいたしました。それぞれの地域の放送局がクリアな音声でサイマルで聴けるというサービスから始まりまして、その後、全国の放送が聴けるエリアフリーのサービス。過去1週間の放送が振り返れるタイムフリーのサービスを作っておりました。直近ではPodcastのサービス。放送後過去30日を振り返れるタイムフリー30というサービスをローンチして、リスナーのみなさまに新たなラジオの楽しみ方を提供させて頂きました。それらのサービスの実現は、radikoがシステムを開発したからできたのではなく、すべてのラジオ局のみなさまが、ラジオの新たなフロンティアを開いていこうという強い思いを持って、一緒に前に進んで頂けたことで実現できたと思っております。そして、広告主・広告会社のみなさまのお力添え。出演者・権利者のご理解があって、今のradikoというサービスはできていると思っています。そういう意味で受賞は株式会社radikoとして頂いておりますが、ラジオ業界の全体で頂いた賞だと思っております」と、スピーチを寄せた。
続けて、司会からradikoのリスナーがいままでのラジオリスナーと違う部分は?という質問を寄せると、椎名氏は「タイムフリー機能という、今いる場所の番組であれば1週間無料で楽しめる機能がございます。たとえば、深夜ラジオ番組を翌日の朝に出勤しながら聴くとか、リスナーさんのライフスタイルに合わせて楽しんで頂いているという感じになっております」との聴取体験を例を話す。
掛原氏へは今後のサービス向上はどういった方向のものを考えているのかと問うと「民放連さまと一緒に連携して進めようとしているのですが、radikoはスマートフォンで1番多く聴かれております。だいたい80%から90%聴かれていると思います。radikoというデバイスは車の中で聴かれることが多ございます。ですので、いかにradikoが車の中で聴けるかを考えているところです。早ければ今月中にもAppleやGoogleのAndroidにも対応できるように進めているので、ご期待頂ければと思います」とのことだった。
今後の音声プラットフォームの展望として岡田氏は、「いま着目しているのはオーディオコミュニティに着目しております。本質的なものですが、1つ1つの番組のノリとか、そのなかでしかつながらないものがあると思いますが、コミュニティの力がその番組の力と考えております。radikoではそのさまざまなコミュニティを持つ番組が集まった、オーディオコミュニティとして、さまざまな機能を開発して、ラジオを聴くだけというところから、ハードル低く参加しやすいものにしていくことで、よりradikoの価値を高めていければと思います」と、意気込んでいた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ