俳優・妻夫木聡、広瀬すずが6月7日に沖縄・那覇市のシネマQで映画『宝島』(監督:大友啓史/配給:東映 ソニー・ピクチャーズ)沖縄キャラバン第一弾!沖縄プレミア試写会舞台あいさつを大友啓史監督とともに開いた。
作家・真藤順丈氏が戦後沖縄を舞台に、史実に記されない真実を描いた作品で第160回直木賞をはじめ、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞を受賞している作品。沖縄がアメリカだった時代が舞台。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがおり、「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)のその後までが描かれる。実際に起きた事件を背景に物語が進行、当時の状況を徹底的に調べ尽くし、リアルな沖縄を再現している。
以下、公式レポート部分。
本日7日に実施された、那覇市の劇場・シネマQでの沖縄プレミア試写会舞台挨拶では、一番最初に沖縄の人々に映画を見てもらえることに対して妻夫木は「感無量です。二度の延期を乗り越えて、戦後80年という節目に公開されることになったのは、もしかしたら、時間をかけて練り上げる時間を神様がくださったのではないかと思う」と運命的な出来事として語った。さらに鑑賞後のお客様に「映画はどうでしたか?」と自ら問いかけ、大きな拍手をもらった。
広瀬は「時間がかかったからこそ、作品に対するスタッフの皆さんの情熱や愛情、敬意を感じ、貴重な経験だった」と語り、さらに大友監督は「アメリカ統治下の沖縄を再現するのは難しく、美術的なことだけでなく、予算的なことも含め覚悟を決めないと作れなかった」と当時の状況を語り、さらに「調べるにつれ、伝えなければならない想いが募り覚悟を持って撮影した」と語った。
コザ暴動のシーンでは集めてきたヴィンテージカーをひっくり返して燃やした豪快なエピソードに話が及ぶと、妻夫木は、当初実際のゲート通りで撮影したいと言っていたと監督のエピソードを語り、「もし本当にゲート通りで撮影してたら、新たなコザ暴動が起きていたかもしれない」と会場を沸かせた。コザ暴動撮影について大友監督は「コザ暴動はあまり映像などが残っておらず、うちなんちゅの方々によって語り継がれた情報を元に想像力を駆使して組み立てた」と苦労を語った。
広瀬は沖縄の歴史を演じることについて「授業で習ったことしか知らなかったが、実際に撮影前にいろいろと沖縄の地を回ってみると肌の感覚が変わり、血が騒ぐ感じがし、今の時代に生きている自分たちがどういうふうに受け止めるべきなのか?」と考えさせられた事を語った。
撮影前の役作りについて妻夫木は、コザにある資料館訪問や、実際に体験された方々に取材した事を語り、当時のことを思い出し涙で言葉を詰まらせる場面が何度もあった。その都度、会場からは「がんばれ」と温かい声援が送られ、「自分が大好きな沖縄だから、ないがしろにしたくない。どこか見てみぬふりをしていた自分がいたんじゃないか」と佐喜眞美術館で「沖縄戦の図」を見た時に感じた事を語り作品を大切に思う気持ちを語った。
こんなにも作品のことを深く思う妻夫木に対して大友監督は、「アメリカ統治下の沖縄を描くのは大変で、キャスティングしながら、2人の顔が自然に出てきたのと同時に、この歴史を背負える俳優というのは、キャリアとか考え方とかを共有して託せる人じゃなければいけないと思って役者を決めた」ことを語り、さらに「何も情報を知らない人が映画の中に入って、登場人物たちと一緒に追体験をして欲しいと思った時に、やっぱり、今の妻夫木くんのような感性が必要だった。」と主演の妻夫木に絶大なる信頼を置いている気持ちを語り「本当にありがとうね」と妻夫木に感謝の意を伝えた。
イベントの最後に、広瀬は、「この映画がみなさんにどのように届くのか、どういう景色として残るのかと。思いながら撮影していたのですが、少しでも皆様の希望になる作品になったらいいなと思います。この映画がとても大きな輪になることを願っております」と語った。
妻夫木は、「この映画を通して過去を描くことは未来への問いかけだと思いました。過去は無かったことにはできないし、いろいろな思いを背負って僕たちは生きています。だからこそ精一杯に生きていかなくちゃいけないし、今を生きる僕たちは、未来を生きる子供たちのために、何を託せるのかを、今一度考える時なのかなと思っています。 今こそ手と手を取り合って共に歩む、そういう力持った映画になったと僕は思っています」と何度も言葉を詰まらせながら語った。そして最後に「まずは沖縄の方々の力が必要です。たぎれ、沖縄。たぎれ、日本。まずは沖縄でお願いします」と宣伝アンバサダーとしての熱い想いを語った。
最後に大友監督は、「最初に妻夫木くんは「この作品と心中します」と言ってくれた。映画は人生を変えるきっかけにもなる、そういう力を持っていることを思いながら、そういう映画の力を発揮できる題材があるとしたら、『宝島』だと思います。アメリカ統治下の沖縄で何が起きていたのか?それをエンターテイメントの中で結論を押し付けるのではなく、皆さん1人ひとりに感じていただけるような映画にしたいと常々話してきた。映画『宝島』は、宝の島と言われているその宝は何だったのか?ということを一人ひとりが考えるきっかけになるんじゃないかと思ってます。沖縄の皆さんにまずハンコウを押していただき、それで堂々ともっと多くの人にこのスピリットを届けたい。なんとかお力をお貸しください」と熱く作品への想いを語った。
さらに、上映後には妻夫木が“宝島宣伝アンバサダー”として沖縄への感謝の想いを込め、来場した340名全員に宣伝アンバサダーの名刺を自ら手渡しするサプライズイベントも実施。イベントでは、鑑賞の感動を本人に伝え、妻夫木自身も涙ぐむ場面が何度かあった。名刺を配布し終わった妻夫木は「映画を見たお客様としっかりと向き合い、時間を共有できたことはとても貴重な体験だった。この想いを持ち全国キャラバンの向かいたい」と今後のキャラバンへの決意を語った。
※記事内写真は(c)真藤順丈/講談社 (c)2025「宝島」製作委員会