俳優・北山宏光が11月7日に東京・明治座で主演舞台『醉いどれ天使』(演出:深作健太)取材会を俳優・渡辺大、横山由依、岡田結実、阪口珠美、佐藤仁美、大鶴義丹、演出の深作健太氏とともに開いた。
黒澤明監督と俳優・三船敏郎が初めてタッグを組んだ同名映画を舞台化した作品。1948年、2021年の舞台版それぞれの作品が持つ魅力を引き継ぎつつ、新たな視点で『醉いどれ天使』の世界を紡ぐ。北山は三船が演じた闇市を支配する若いやくざ・松永役を演じる。
ゲネプロ前に取材会を開催。北山は「やっと初日を迎えられるなという気持ちであります。深作さんからいただいた演出だあったり、台本の読み方であったり、いろんなパズルが、やっときょうすべてそろっていくんじゃないかなと。その絵をお客さんに届けられる喜びを噛み締めながら、初日を迎えたいなと思っております」と、しみじみ。
深作氏の演出で印象的だったことへ、北山は「この『醉いどれ天使』という作品が、ここまでエンタメ化して、そしてロックで。“ここが、こうなっていくんだ”っていう驚きはありました」と、全体的な話を。さらに、セット1つ1つへのこだわりを強く感じているそうで、北山は「セットからもちゃんとメッセージを受け取れます。そして、そこにキャストが立つことによって、さらにこの世界観の奥行きが広がる。そんな印象がとてもありました」と、ポイントも話した。
本作で北山は座長を務めるなかで、カンパニーメンバーから“北山さんがかなりけいこで凄い”という噂も立っているという。それを記者が北山に直接ぶつけると「どこで、誰がどういう噂を!?」と、ツッコんでいたが、大鶴は「僕、結構北山くんと戦うシーンとかあるんです。けど、絶対疲れた顔をしないんです。そこはやっぱり凄いな、座長の責任感だなと感じるとこありますね」と、感じ入っているそう。
これに北山は、「ステージ上でカロリーを使うことによって、客さんに伝わることもたくさんあると思うんです。だから本気でやっているというか。実際にお客さんが入った時に空気感がどうなるのかとか、それはものすごく楽しみにしています」と、思いを伝えた。
ほかにも、カンパニーのメンバーから北山に関するコメントも。横山は「北山さんが『明治座の最前列がすごく近いね』っておっしゃっていたんです。距離が近いと思いますので、3階席のお客さままでお届けできるように、大阪公演まで走り抜けていきたいと思います」と、北山の舞台にかける思いを伝えたり、岡田は「深作さんと北山さんが目指す、超・超かっこいい世界が、もう出来上がっていて、あとはそれについていくのみだなと心から思っております」と、2人を信じて務めていきたいと話す。大鶴は北山らの敵役で迷惑をかけていくそうだが、北山は「裏だと全然優しいからね」と、しっかりフォローして笑いを誘った。
舞台以外の部分での座長ぶりはどうか?との質問も飛び、佐藤は「ファッションチェック大魔王だと思ってます」と明かす。これに北山は「仁美さんのけいこ着がとっても可愛くて。Tシャツ、パンツ、靴下、全部違う動物が入っていたりとかしていて、動物が日によってちょっと違ったりとかするんです。きょうは上半身全部犬で」と、細かい部分まで目が行き届いている様子を窺わせていた。
そして北山から「このキャストでないとできない作品になっております。それは何かというと、お芝居もそうですが、昭和を舞台にしていたり、とてもロックに演出されていたりしていますが、このお芝居の重さというものは失っていないんです。きっと、観に来た方に楽しんでもらえ、何かメッセージを受け取っていただける作品になってると思います。ぜひとも、劇場に足を運んでください」と、メッセージを寄せていた。
舞台『醉いどれ天使』東京公演は11月7日から11月23日まで明治座にて、名古屋公演は11月28日から11月30日まで御園座にて、大阪公演は12月5日から12月14日まで新歌舞伎座にて上演予定!
<あらすじ>
当たり前のように存在していたすべてが失われた、敗戦後の東京。
戦争で帰る場所を失った人々は、荒れ果てた都市に流れ着き、闇市でその日その日を生き延びていた。
ある夜、銃創の手当てを受けに、闇市の顔役・松永が真田の診療所を訪れる。
真田は闇市の界隈に住む人々を診る町医者で、酒に溺れ口は悪いが、心根は優しく一流の腕の持ち主。
顔色が悪く咳込む松永を、診療所に住み込みで働く美代も心配する。
一目見て肺病に侵されていると判断した真田は治療を勧めるが、松永は言うことを聞かずに診療所を飛び出し、闇市の様子を見回るのだった。
居酒屋で働く同郷の幼馴染のぎんは、そんな松永を心配しつつも、密かに想いを寄せるようになっていた。
しかし、着々と病魔が松永を蝕み、ダンサーの奈々江は彼から離れていく。
戦後の混乱の中、松永の采配によって落ち着きを保っていた闇市だったが、松永の兄貴分の岡田が出所し、闇の世界の力関係に変化が起きていくのであった…。
※記事内写真は撮影:宮川舞子
文:水華舞





