俳優・舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀が11月14日に東京・ユナイテッド・シネマ豊洲で映画『港のひかり』(監督:藤井道人/配給:東映)初日舞台あいさつを藤井道人監督とともに開いた。
能登・輪島で撮影した本作。過去を捨て生きている三浦(舘)と、事故で視力を失った少年・幸太。どこにも居場所がない2人がいつしか年の差を超え特別な友情を育んでいく。しかし、三浦は幸太の目を治すために手術の費用を残し、突如、行方が分からなくなる。その12年後、目も治り警察官になった幸太が三浦の行方を探すのだが、ある秘密を知ることとなり……。少年時代の幸太を眞秀、青年期を眞栄田が演じる。
キャスト3人は黒のタキシード、藤井監督も黒のシルエットと、フォーマルな雰囲気漂う舞台あいさつに。舘と藤井監督は2021年1月公開の映画『ヤクザと家族』でタッグを組んでいるが、そのとき一緒に仕事をしたことが本作のきっかけになっているといい、「『ヤクザと家族 The Family』の試写を観たときに、もう1度この監督とご一緒したいと心から思いました。それで(2022年6月に亡くなった)河村光庸プロデューサーにお話して、この企画が生まれました。たくさんの素敵な俳優さんが参加してくれました。カメラは日本映画界の木村大作さんが撮影してくれて、一昨年の震災前の輪島の風景、美しい能登の海を35ミリのフィルムに焼き付けてくれて、私の俳優人生50年の中の集大成というべき映画になったのではないかなと思っています」と、一言一言噛みしめるように話す。
藤井組で演じるうえで、舘は「『あぶない刑事』のときはスタイリッシュにやろうと思っているところはあるんですが、藤井監督ですから、気持ちだけでぶつかるしかないと思って、気持ちだけでお芝居をしました」と、思いを前面に出したものだったともコメントを寄せた。
眞栄田は「24歳の僕を詰め込んでいます。みなさんも楽しんで頂けていたら嬉しいなと思います」と話し、演じるうえで「12年間おじさん(三浦)が見せてくれた思いや強さがにじみ出ればいいのかなと思いました」と、意識した部分を。
舘との共演について眞栄田は「今回で2回目なのですが、初日から接しやすい空気を作ってくださってやりやすかったです」とお礼をすれば、眞秀は「船の上での撮影のときに、酔いそうになってしまったんです。そのときに舘さんが『波も楽しめばいいんだよ』って言ってくれて、それで酔わずに撮影できて。舘さんのおかげで」と、感謝する様子も。
作品にちなんで誰かのために嘘をついたことはある?という質問も飛んだが、舘は「自分のためにしかついたことないなぁ」と苦笑いしつつ、いちごアイスクリームにハマっていた時期があり、ハマりすぎたあまり奥さんにも止められるほどだったそう。そんなときに奥さんに嘘をついてまでこっそりいちごアイスクリームを食べていたそうだが、後に「妻に『食べてるでしょ』と言われて」とバレていたとオチをつけていた。
眞栄田はといえば「嘘をつけなくてお世辞も言えないんですけど、撮影していて『良かったよ!』『格好よかったよ!』と言ってくださるじゃないですか。それを疑ってしまう自分がいて嫌だなぁって。だから、みなさんにはお世辞じゃない感想がもらえたら」と、観客たちに呼びかける。すると舘は「僕は嘘でもいいから褒めてほしい!」と前に出て、場内を爆笑させていた。
劇中のキャストで気になる人はいるか?という問い掛けに、「素晴らしい俳優さんがそろってくれたんです。ピエール瀧さんとか」という舘。さらに、「あとは斎藤工くんですね。眉毛を剃ってあの役に挑んでくれた。それが、私のためと思っていたんですけど、全部監督のためということでがっかりです(笑)。でも、斎藤工くんのあの姿勢は凄いと思います」と、評価していた。
そして舘から「本当に素晴らしい映画になったと思います。1度ならず2度3度と観て頂いて、ご家族に素晴らしさを伝えてもらえたら」と、メッセージを寄せてイベントをしめくくっていた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ





