バンド『花冷え。』が2月23日に東京・Zepp Hanedaで全国ワンマンツアー『もしかして!今年こそジャパンTOUR 2026』ファイナル公演を開催した。
2024年にはアメリカ最大級の音楽フェス「ロラパルーザ」のメインステージに出演。2025年は累計約2万5000人を動員したヨーロッパでのヘッドラインツアーを大成功させ、海外での活躍も目覚ましい彼女たち。日本でのツアーは約1年2ヶ月ぶりなった。
以下、公式レポート部分。
開演前の時点でフロアから歓声が上がるほどの高揚感が充満した会場。開演時間の18時を過ぎ、オープニングSEをバックにチカ(Dr)、ヘッツ(Ba)、マツリ(Gt / Vo)、ユキナ(Vo)の順番でステージに登場した4人。ユキナの「ツアーファイナル、死ぬ気でかかってこい!」という号砲と共に「NEET GAME」でライブの幕が上がると、その演奏にオーディエンス熱狂的な盛り上がりで応える。ライブハウスだからこそ生まれる、超密度のコミュニケーション。絶景が広がる。バンドとオーディエンスが、お互いに全身全霊で出会い、興奮や喜びを分かち合っていく。そんな熱く清々しい空気が、開始早々フロアを包み込む。
続けて、昨年リリースされた配信シングル曲であり、TVアニメ『あらいぐま カルカル団』の主題歌として書き下ろされた楽曲「かるガル Everyday!!」を披露。バンドの放つ音だけでなく、オーディエンスの盛大な歌声も響き渡る。ジャンルや国境のボーダーを越えた活動をし続ける花冷え。の自由で解放的なエネルギー空間全体を包み込む。3曲目に演奏された「令和マッチング世代」では、ヘヴィなリズムセクションに合わせてフロア全体もハンドクラップ。ラウドロックとヒップホップが混ざり合うドープなサウンドでフロアを花冷え。の世界に没入させる。
ちなみに、今回のツアーでお披露目された4人の新衣装は、日本発の新キャラクター「ClawZ」と花冷え。のコラボレーションで生まれたもの。ClawZのキャラクターデザインを手掛けたのは、シナモロールなどを手掛けたことで知られる、おくむらみゆき。この日のMCで、ユキナは「ClawZのデザイナーのおくむらみゆき先生と仕事をすることがバンドをやる前の私の夢だった。バンドやっていたら、夢、叶っちゃいました!」と喜びを露わにしていた。加えて、この日の終演後に会場に貼り出された、今年5月10日にKT Zepp Yokohamaで開催される毎年恒例の花冷え。主催イベント「花冷え。pre. 春の大解放祭 2026」のフライヤーは、マツリの父親がデザインしたものだという。花冷え。を中心に広がるのは、細部にまで夢や愛が詰まった空間だ。
ミラーボールがフロアを煌びやかに照らす中で披露された「今年こそギャル 初夏ver.」では、2名のホーン隊がステージに登場、演奏をさらにパワフルに彩り、テンションをアゲにアゲまくる。マツリのギターソロも鮮やかに響き渡る。
中盤のMCでは、メンバーが一人ひとり、今の想いと感謝をオーディエンスに伝える場面もあった。このMC、このツアーの他の会場では笑い混じりの時間でもあったようだが、この日はファイナルとあって、それぞれが真剣に思いを伝えているのが印象的だった。さらに、このMCコーナーでは、なんとDizzy Sunfistのあやぺたと、SiMのMAHがコメントで登場。声のみの出演とはいえ、オーディエンスも大歓声でふたりを迎えた。ここは声出演のゲストが花冷え。のメンバーに質問をするコーナーだったのだが、あやぺたの「最近ハマっているものは?」という質問に対し、マツリは「ゲームの『VAROLANT』」、ヘッツは「『プリキュア』シリーズを追いかけること」と回答。さらに、MAHの「(花冷え。の『Spicy Queen』にちなんで)辛いものを食べたあと、お尻が痛くなることへのいい対処法は?」という質問には、チカが「そんなになるまで辛いもの食べないからな~」と困った末に、「オムツをはく」と、そのドラミングに違わぬダイナミックな回答を披露した。
ライブが中盤に差し掛かると、今年1月にリリースされた最新EP『HOT TOPIC』の収録曲たち――リード曲「ICONIC」や「GIRL’S TALK」、それに花冷え。節全開のラブソング「トキメキAbout you」などが披露された。「トキメキAbout you」の導入には、チカとヘッツのリズムセクションによる屈強な演奏が地響きのように会場を揺らす。昨年、結成10周年を迎えた彼女たちの、その1音1音が研ぎ澄まされた演奏には、「ICONIC」に刻まれたメッセージと同じく「自分らしくあろうとする」バンドの逞しさが宿っている。繊細でありながら、強い――そんな今の花冷え。の佇まいの美しさと強さを、最新楽曲たちは虚飾なく真っすぐに伝えてくれる。その後のMCでは、ユキナが「ツアーファイナル、間違いのない時間を過ごせています」と告げる。「今、この瞬間は、間違っていない」。そう確信を持ってステージの上から発することができるバンドなんて、最高のバンドに決まっている。
さらに、ユキナはステージ背後に掲げられたバンドのフラッグを指さして、「このフラッグ、小さいと思いませんか? 実はこのフラッグ、3年前のワンマンのときに作ったものなんです。そのときは、このフラッグがデカ過ぎると思えるくらい、会場が小さなライブハウスだったけど、今はこのフラッグがこんなに小さく見えるくらい、会場がデカくなりました!」と、この3年間の自分たちの歩みを誇らしげに語る。続けて「こんなことワンマンじゃないと言えないから――」と、バンドを愛し、バンドの生み出す楽曲を愛してきたすべてのオーディエンスやスタッフたちに感謝を伝えた。そして、「みんなが誇りに思えるバンドになれるように」と告げると、昨年5月28日、バンドの結成10周年記念日に配信リリースされた「SPICY QUEEN」を披露。さらに、花冷え。の名を世界規模で知らしめるきっかけにもなった1曲「我甘党」も立て続けに演奏。「これが花冷え。だ!」と宣誓するような、バンドの人生を響かせるような演奏に、フロアも爆発的な盛り上がりで応える。
ラストは「おいしいサバイバー」に「お先に失礼します。」とキラーチューン連打でライブ本編を終了。「おいしいサバイバー」の演奏前にユキナが叫んだ「一分一秒、噛み締めていこうぜ!」という言葉は、世界各地で怒涛のツアーの日々を生きてきた花冷え。が掴み取った、とても大事なメッセージなのだろう。そして、アンコールを求めるオーディエンスの盛大なハンドクラップと「花冷え。!」コールに応えて再びステージに戻った4人は、花冷え。が生まれた街、そして、今この瞬間に立つ場所を高らかに祝福する「ぶっちぎり東京」と、1stフルアルバム『乙女改革』収録の爆走するショートチューン「センチメンタル☆ヒロイン」を演奏し、この日のライブと、久しぶりの日本ツアーとなった「もしかして!今年こそジャパンTOUR 2026」を締め括った。気高く、愛に溢れた、素晴らしいライブだった。ヘヴィな音と渦巻く熱気の中で、感動を分かち合う夜だった。
今年は3月から北米ツアーも控えているが、この日のMCでは「これから日本でいっぱいライブをするので。いっぱい日本で絆を築いていきましょう!」と楽しみな宣言もしてくれたうえに、この日の公演終演後には5月に開催の「花冷え。pre. 春の大解放祭 2026」出演者も発表された。楽しみで仕方がない。これからもっともっと、私たちは花冷え。と出会えるのだ。
■セットリスト
01 NEET GAME
02 かるガルEveryday!!
03 令和マッチング世代
04 TOUSOU
05 SUNRISE 味噌SOUP
06 今年こそギャル~初夏ver.~
07 LOVE♡乱舞
08 ICONIC
09 GIRL’S TALK
10 私たちの7日間戦争
11 L.C.G
12 トキメキAbout you
13 Spicy Queen
14 我甘党
15 おいしいサバイバー
16 お先に失礼します。
[Encore]
01 ぶっちぎり東京
02 センチメンタル☆ヒロイン
文:天野史彬
撮影:オカベメイ








