尾上松也、中村歌昇ら7人が「新春浅草歌舞伎」卒業へ!思い出話や後輩への想い披露

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 歌舞伎俳優・尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉が18日、都内ホテルで『新春浅草歌舞伎』取材会に臨んだ。

 今回で40回目となる本公演は、歌舞伎界の次代を担う若手花形俳優が大役に挑む“若手歌舞伎俳優の登竜門”として浅草公会堂の新春を彩る舞台として知られている。

 松也は、「私がリーダー格となった『新春浅草歌舞伎』が2015年から10年となりなました。(新型コロナウイルス禍の影響で)昼の部・夜の部ということでチームを分けていましたので、2024年はみんなで一緒になって一緒に公演を打てることを嬉しく思っています」と、感慨深げ。

 今回の公演をもって2015年から参加している松也、歌昇、巳之助、新悟、種之助、米吉、隼人の7人の『新春浅草歌舞伎』出演は今回で卒業となることもアナウンス。

 このことへ松也は、「10年目ということでわたしも来年が30代最後ということで、気持ち的にはまだまだ若手という気持ちはあります。『新春浅草歌舞伎』は若手の頃に憧れて出演を目指していた時期もありますが10年、これだけ浅草でいろいろ経験をさせて頂いて恩返しも含めて、そろそろ、浅草を後輩のみなさんに託したいという気持ちで決断に至りました。初めて自分が中心となって公演を任せてもらえるとなったときに、いろんなことの転換期で自分の環境が瞬時に大きく変わりだした時期でした。浅草歌舞伎も自分が中心となって嬉しさもありましたけど、本当に嬉しさと同時に、不安や恐怖といろんな思いが入り混じっていた気がします」と、当時の心境を。

 そのなかで当時、松也は「自分がどうしたらいいのか迷っているときに、ここにいるみなさんが連絡をくださったんです。『盛り上げるために』ということを言って頂いたのが嬉しくて。浅草歌舞伎はワンチームとして良くしていこうという気持ちがその時に固まったと思います」と、一致団結をしていたというエピソードが明かされることに。

 続けて、この10年での印象的なことへキャスト陣に質問があがったが、松也と同じく2015年の初年が印象的だった話すキャストが続出。巳之助は「最初の年、私達がやらせていただくとなったときに、事前に膨大な宣伝活動をしたなっていうのは思い出深いです。あんな短期間にバラエティ番組に出たのは後にも先にもあの年だったのではないかなと。ですから、みんなで不安と戦いながら、浅草歌舞伎をもり盛り上げようとバラエティに出まくったことですね(笑)」と、盛り上げるために手探りをしていた様子を窺わせる。

 種之助は「最初の年に、先輩方から受け取ったバトンをどうしようかという気持ちでした。初日に『お客さま入ってるかな?』という気持ちで」といい、自身の演目で顔を上げたときにお客さんが入っていた光景を見て、胸がいっぱいになったとも。

 米吉もキャスト陣の話を聞いてうなずきながら「最初の年が思い出深くて、どんなことをしたら盛り上がるのかというので、それまで1人で行っていたお年玉あいさつを(巳之助と)2人でかけ合いをしたんです。そうしたら大失敗して(苦笑)。2人とも仲いいのに、舞台に立って緊張して話すことになって」と、挑戦もしたそうだ。

 隼人は目を引くような散らしを制作したことや「ほかの劇場と違うのは、地域密着型ということで、先輩方にお礼にいくのはもちろんこと、近くの女将さんや旦那衆にお礼に行っていて」と、貴重な挨拶まわりの経験を語っていた。

 そんな10年目を盛り上げる施策を問われた松也は、「とくには考えていないですけど」と切り出したが、昼の部、夜の部と俳優陣が通しで出演できるということで、「魚屋宗五郎のときに、最後だから全員がちょっとした役でもいいから出てもらいたいと思っています。いままでそういうことはなかったので」と、プランを明かしていた。

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話題に挙がったポスター

 ほかにも、本公演ポスターが卒業する7人はレッドカーペットの上を歩き、後の2人は立ち止まって見送るような構図となっているが、これを見たファンから“匂わせポスター”と言われていたと明かしたり、歩かずに止まっていたら卒業はなかった?との話題で和気あいあいと笑い合う様子も見せていた。

 そんな温かな雰囲気のなか、橋之助は見送る立場ということで、松也らへ「前の世代の方々から橋渡しをしてくださって、この世代のリーダーとして盛り上げてくださって。僕もまた来年以降、兄さん方のいいところをとって」と真面目に話していたが、「橋之助だけに橋渡しを(笑)」とまさかのダジャレを繰り出し、会見場は爆笑に包みつつ、「熱さを前面に出していけるように、悔いなく託していけるように頑張りたいです」と、意気込んだ。

 逆に、松也は後輩に対して、「僕らも前の世代に浅草歌舞伎を盛り上げてくださった先輩の想いを感じながら、10年前に始めさせて頂きました。歌昇くんが当時、『涙が出るほど嬉しかった』ということを言っていたのを思い出します。みんなで誓い合ったのを覚えていますし、なんとか僕たちも10年、繋げてくることができましたので、後輩のみなさんも続いてきた先輩たちの想いと、地元のみなんの情熱をさらにさらに盛り上げて頂いて新春浅草歌舞伎を盛り上げて頂ければと思っています」と、メッセージを寄せていた。

 『新春浅草歌舞伎』は2024年1月2日から26日まで浅草公会堂にて上演予定!

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