アイドルグループ『SixTONES』の松村北斗が14日、東京・新宿バルト9で映画『キリエのうた』（原作・脚本・監督：岩井俊二／配給：東映）公開記念イベントに、アイナ・ジ・エンド、広瀬すず、岩井監督とともに登場し、司会は笠原秀幸が担当した。
壮絶な運命と無二の歌声を持つキリエ（アイナ）の音楽がつなぐ13年におよぶ壮大な愛の物語を描いた作品。降りかかる苦難に翻弄される男女4人の人生が、切なくもドラマティックに交錯していく。松村はいなくなってしまった彼女を探す青年・夏彦役を演じている。
上映後拍手に迎えられるなか登壇したキャスト陣。松村は「単純な物語ではないからこそ、いろんな届き方をするんだろうなって感じています。素敵な届き方をするよう願っています」と、現在の心境を話しつつ、「上映後ですよね？」と周囲を見回すと「先程インスタライブで少しネタバレをしてしまって……（苦笑）。ネタバレとかを気にせずのびのびと楽しい時間をと思っています」と、笑いながらスタート。
公開されて「いろんな声は届いてますけど、『どのキャラクターが1番さ刺さった』とか『共感した』とか感想を伝えてくださる方々、それぞれに五角形のペンタゴンがあるみたいで。それを誰かと喋りたくなったりするのかなって」と、分析。
自身のお気に入りのキャラクターは広瀬が演じた「イッコさん」という松村。「色物な感じで登場するんですが、フリが効いていて一言のセリフでこっちが感動したりするセリフがあるんです。『感動したのは、あなたの歌ですよー』っていうセリフはキャラクター振りが聴いてるから好きでした」と話すと、広瀬とアイナがニコニコとうなずきあい、ほのぼのした雰囲気に。
さらに、松村は「もしかして、あらかたのストーリーを知っているというのもあるのかもしれないですし、些細なところなんですがグッと来てしまうところがあるんです……」と切り出すと、好きなシーンとして「キリエが仲間を見つけていくんですけど、それが妙に嬉しそうなんですよ。過去のことを踏まえてのことがあると思うんですけど、嬉しそうであればあるほど、本当に苦しくなっていって。それこそ（イッコこと）真緒里が（キリエこと）路花を見る顔とかがグッときたり」と、しみじみ。
そこから自身演じる夏彦へは「自分のことでいうと、こんなに背中丸かったっけ？ってくらい丸かったのは記憶にあります」と言いつつ、猫背にして背中を丸めるような姿勢をとる様子が。この背中を丸める様子に会場中の視線が集まり、松村も「時間経過とともに」と言いつつ、また背中を丸めたり「（上映時間）3時間あるなかで3段階くらいあって。最後のシーンはこんな感じになってました」と、背中を丸めるジェスチャーを見せて笑いを誘っていた。
「最後のシーンはこんな感じになってました」
司会の笠原は出演キャストとして、松村演じる夏彦が取り乱しつつ、なぜか靴紐を結ぶシーンに見入ったそう。「人って頭の整理がつかずに混乱したときって感情とは違った行動をすることあるじゃないですか。前にすごく混乱したときに靴下を冷蔵庫に入れたことがあって、あっ、違うと出したことがあったんです」と話したが、松村は「それ話したかっただけじゃん！（笑）」と、ツッコんでいたが、笠原はその混乱の演技が自然だったと言いたかったと熱弁を振るう。
この笠原の話に広瀬も大きくうなずいて聞いており「何もないのに逃げ場所を作って、その先が靴紐っていうのが、もろくて切なかったというか、優しさも感じたというか泣いちゃって」と、感動したという。すると、笠原が「そういう質問を司会からすると野暮になっちゃうので言わなかったんですけど」と話したが、松村は「いま野暮なくらいしゃべっちゃいましたよ（笑）」と、再びのツッコミを入れ丁々発止のやりとりが。
ここで横からアイナが「あのシーンの松村さん、何10回もテイクされてましたよね」というと、岩井監督も「12、13くらいかな」と回想。しかし、松村は、「えっ、もっとやってますよ！」とのこと。その撮影が終わった際にアイナによると「松村さん放心状態になってましたよね」と、証言。なぜ、そんなにテイクを重ねたかについて岩井監督は「問題があったわけじゃなくて、陽がどんどん良くなっていったんで。もう1回撮ったら、もっと神々しくなるぞって」ということでの撮影だったといい、松村もそれを承知済みだったのか「昼から日が落ちるまでやりました。ちょっと切ないシーンじゃないですか。それで背景とマッチするんで、やってもやってもいまの空がいいんだよってなって。頑張りました」と、撮影の裏話につながっていた。
また本作は釜山国際映画祭でも上映されイベントにもそれぞれ登壇。松村は、「言語が違うという中でも、歌声の説得力、“キリエの歌”には刺さっているという感じがしました。その時は日本の反響のあるタイミングではなかったのですが、質問や反応の大きさで“キリエの歌”がど真ん中にいるんだなと確認できました」と、感じたことを話していた。
イベント終盤には岩井監督から1人ずつにメッセージが。岩井監督がアイナにメッセージを送っている際には間にいた松村は1歩下がる気遣いを見せたりしつつ岩井監督は松村へ、「松村北斗という人と初めてお会いしたときに、“なんて美しい人なんだろう”って。それで、また服を脱いだら美しすぎてですね。動揺して」と言い出すと、松村はそこだけ切り取られることを危惧したのか「映画映えしたってことでいいんですよね」と言いつつ、顔を手で覆い恥ずかしげで、後ろを向いてしまう一幕も。その最後に「ただ一色の役ではなく、心が傷つきながら進んでいて。前のシーンだったり後のシーンだったり、的確にその瞬間瞬間を演じてくれてて、まさに、松村北斗さんが作り上げた作品だと思っています」と、たたえると、松村は感激だったのか、深々とお辞儀していた。
その後、花言葉に「不可能を可能にする」という意味を持つ青いバラがキャスト3人にサプライズでプレゼント。これに松村は劇中であったシーンを思わず口走ったり、「なにかの契約みたい」と言いつつ笑みが浮かんでいた。
映画『キリエのうた』は全国公開中！
恥ずかしさのあまり後ろを向いてしまうことも