声優アイドルグループ『前橋ウィッチーズ』とアイドルグループ『LINKL PLANET』が9月14日に東京・日系ホールでツーマンライブを昼夜2公演で開催した。
『前橋ウィッチーズ』はTVアニメ『前橋ウィッチーズ』のメインキャストにより結成された5人組。同作では、群馬県前橋市を舞台に5人の歌う魔女見習いが悩める人たちの心の花を咲かせるという物語が展開された。メンバーは、春日さくら(赤城ユイナ役)、咲川ひなの(新里アズ役)、本村玲奈(北原キョウカ役)、三波春香(三俣チョコ役)、百瀬帆南(上泉マイ役)の新人声優5人。
一方のLINKL PLANETは“リンプラ”との略称で、プラモデルと世界を繋ぐアイドルというコンセプトで活動。BANDAI SPIRITSのプラモデル公式アンバサダーを務めており、メンバーは、天川れみ、荒井芽依、尾本侑樹奈、佐藤咲菜、鈴木華凜、高柳光花、東恩納瑠花、宮﨑菜々の8人で活動している。
以下、公式レポート部分。
昼公演『ミラクル魔女修行!激突! – プラモアイドル編』の先攻を務めたのはLINKL PLANETだ。お揃いの制服風ワンピース衣装に身を包んだ8人は、登場早々、緩衝材に包んだプラモデルを客席に投げ入れてプレゼントするライブ恒例の行事、通称“プラモトス”を行ってファンを歓喜させると、初手からライブの鉄板曲「ヘリコプタオル」を投入。タオルをぶん回しながらテンションMAXでパフォーマンスし、会場のボルテージをいきなり最高潮まで引き上げる。
そこから一転、表情をキリッと引き締めてEDMスタイルのダンスナンバー「Brand New World」を披露。パワフルボイスこと鈴木を軸にした力強い歌唱と、広いステージを活用したフォーメーションダンスによって、クールでかっこいい一面をアピールする。続いてTVアニメ『ガンダムビルドメタバース』EDテーマでもある王道のアイドルポップ「Days of Birth」を愛らしくパフォーマンス。会場から盛大なコールを引き出す。
ここからは3曲を連続で披露。アッパーなデジタルポップチューン「胸にいつもガンプラを」は、両手で銃を撃つような構えが振り付けに取り入れられており、サビ終わりの“明日を目がけて光を撃て”というフレーズが夢を追ってステージに立つ彼女たちの姿と重なって胸を打つ。そして清廉な歌と振り付けが印象的な「はじまりは恋」では、みんなで手を振りながら「ラララ~♪」と声を重ねて壮観な景色を作り上げると、ラストは再びタオルを手にして2度目の「ヘリコプタオル」で締め括った。
その後、メンバーからグループの今後の予定を告知。現在、メンバーの名前の頭文字から1文字ずつ取って並べたスローガン「ミルユメカサナレ」を掲げ、単独ライブ動員数1,000人を目指して活動中の彼女たち。それに向けて、10月3日(金)にワンマンライブ『ミルユメカサナレ「ゴカイチョウ」』を東京・Veats Shibuyaで開催、11月23日(日・祝)にはワンマンライブ『ミルユメカサナレ「クミタテチュウ」』を東京・一ツ橋ホールで実施することが発表された。さらに5thシングル「ミルユメカサナレ」が11月23日(日・祝)にリリースされることも決定。過去に1度目標を掲げて成し遂げられなかった1,000人動員を目指し、志を新たに活動するリンプラに注目だ。
続いては前橋ウィッチーズのメンバーをステージに迎えて、コラボ企画「前橋が見せるね」のコーナーへ。これはリンプラのライブで普段行われている、ファンが持参した自作のプラモデルをステージで紹介する企画「リンプラに見せてね」の拡張版。前橋ウィッチーズの面々がこの日のために制作した恐竜のプラモデル・プラノサウルスが次々と紹介されていく。リンプラのシングル「プラトモ」のジャケットデザインをイメージして塗装したという本村、毛糸の三つ編みを頭に付けて自身が演じるキャラクター・三俣チョコ風にアレンジした三波、ガラス瓶を使ってジオラマ仕立てにした百瀬など、各々の個性を活かして組み立てられたプラノサウルスの完成度の高さに、リンプラメンバーは驚きと感動の連続。プラモ愛を通じてさらに親交を深め合う時間となった。
そして昼公演の後攻、前橋ウィッチーズの出番。まずはつんく♂が歌詞を提供したTVアニメのオープニングテーマ「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」でステージの幕を開ける。パラパラやユーロビートのような懐かしさを感じさせる要素と令和のサウンドテクスチャーが融合した“ネオ平成”を感じさせる楽曲もさることながら、マントを羽織った魔女見習いそのままの衣装で歌い踊る5人の姿に、会場も熱狂的なコールと5色のペンライトで応える。シリアスな始まりから一気に熱く展開する「絢爛SHOW TIME!!」での、悔しさをバネに奮起するようなエモいパフォーマンスが披露された。
MCで「リンプラさんに負けないくらい皆さんの心に花を咲かせたいと思います」(春日)と意気込むと、ここからは3曲を一息に畳みかける。まずは星空の如き透明感を湛えた「Meteor Shower」で美麗な歌声を重ねると、メルヘンチックな「ドリーミードリーミーフラワー」では、メンバーの右手を振る動きに合わせて客席のペンライトも大きく揺れる。さらに和の風情とデジタルビートがミックスされたお祭り曲「MATSURI day PARTY!!」で、会場はダンスフロアに早変わり。オーディエンスもハンズアップして大騒ぎだ。
「盛り上げソングばかりだったね」(百瀬)と会場の盛り上がりぶりを喜ぶ見習い魔女たちは、ここで12月26日(金)・27日(土)に東京・Zepp Hanedaで行われるワンマンライブ「『前橋ウィッチーズ』ライブ ~Welcome to WITCH-VERSE!!~」の告知を行い、早くもラストスパートへ。TVアニメ最終話の大団円シーンを彩った挿入歌「ユメミ誇レ!ユメ咲キ踊レ!」で明るく晴れやかな5声を響き渡らせて絆の強さを示すと、最後は90年代のアニメソングのような熱さを持つ「花たちはどんな夢を見る」を披露。勇ましい歌い口、それぞれのメンバーカラーの衣装を纏い力強く咲き誇る5人の姿が、まるで戦隊ヒーローのようにも映るなか、クールにキメてライブを終えた。
そしてリンプラを再びステージに呼び込むと、昼公演のフィナーレを飾ったのは、両グループ総勢13名によるコラボステージ。前橋ウィッチーズの代表曲「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」を全員でパフォーマンスする。楽曲の2番ではリンプラのメンバーがソロパートを担い、間奏で前橋ウィッチーズの5人が輪になって回りながら歌う箇所では、その周りをリンプラのメンバーが取り囲んで「オイ!オイ!」と盛り立てる一幕も。この日だけの特別なステージで昼公演の幕は閉じた。
夜公演『魔女見習いとミルユメカサナレ』の先攻を飾ったのは前橋ウィッチーズ。ライブの幕開けに最適なオープニングテーマ「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」からアニメ最終話の挿入歌「ユメミ誇レ!ユメ咲キ踊レ!」に繋げてファンの感情を大きく揺さぶると、恒例の質問タイムを挿み、ここからは昼公演とセトリをガラリと変えた3曲を披露。マントを翻したりキックのような動作を取り入れた振り付けで力強く魅せた「夢よ、咲け!」、葛藤を越えて自分の道をつき進んでいくような「シャボン・テンション!」、エモーショナルに高まっていく「You Are My World」と、アニメ前半戦の挿入歌を立て続ける。メンバーも「(アニメの)追体験みたいなセトリができて嬉しいね」(三波)と喜んでいた。
その後のMCでは、昼公演から夜公演までの待ち時間の間に、リンプラメンバーと一緒に写真を撮るなどして交流を深め、あだ名呼びできるようになったことを報告。本公演を経て今やすっかり仲良しになったようだ。そして前橋ウィッチーズのライブパートは早くも最後のブロックへ。昼公演に続いて「絢爛SHOW TIME!!」を披露し、腰を落としたワイルドな振り付けも込みでアグレッシブに迫り、観客のハートを鷲掴みにすると、ラストは電波ソングばりの山あり谷ありな展開がユニークで神がかっている「無敵☆PAYAPAYA」で“明るい未来”を描き出してライブを終えた。
そして昼公演と同じく、両グループのメンバーが登壇してコラボ企画のコーナーへ。夜公演では「前橋クイズ リンプラ特別編」と題し、お互いが前橋とプラモデルにまつわるクイズを出し合って勝負し、その知識を深め合うという趣旨だ。なおかつ負けたグループは、勝ったチームの期間限定宣伝大使としてSNSで魅力をアピールすることに。前橋ウィッチーズ側は、事前にプラモデルにまつわる情報をネットで予習していたらしく、「初めてガンプラが発売された年」などのクイズをズバリ的中させて全問正解。だが、リンプラ側は「前橋花火大会の名物・超ワイドスターマインの打ち上げ幅は?」といった前橋クイズに苦戦し、正解は天川がかわいくおねだりして三波に答えを教えてもらった1問のみに。結果は前橋ウィッチーズの勝利となった。今後リンプラがどんな宣伝を行うのか、SNSの更新を楽しみに待ちたい。
そしてライブは後半戦、今度はLINKL PLANETが後攻を務める。昼公演と同じくプラモデルとタオルを手にステージに登場した8人は、まずは恒例の“プラモトス”を行うと、初見でも盛り上がれるタオル曲「ヘリコプタオル」でライブをスタートさせる。会場中のタオルがヘリコプターよろしくグルングルンと大回転する様は壮観で、歌詞にある通りまさに“これがうちらの必殺技”だ。そこから趣きを変えて、メンバーが4人ずつ分かれて向き合うフォーメーションから始まったのがシングル曲「プラトモ」。尾本が担当した“『初めての感情が胸の奥で騒いでるんだ』”というセリフパートを含め、プラモにハマっていく気持ちを様々な感情の動きになぞらえた歌詞と温かなハーモニーが、観る者の心を浄化していく。
続く自己紹介パートでは、メンバー随一のモデラーである荒井が、前橋ウィッチーズの咲川が演じるキャラクター・新里アズをイメージして自作したプラモデルをアピール。佐藤も本村演じる北原キョウカの髪形を意識してセットしたとのことで、前橋ウィッチーズへの愛をアピールする。さらに佐藤がセンターを務める新曲「バイバイエスケイプ」の告知を行うと、トロピカルハウス調のしなやかなダンスナンバー「踊るカケラ」でライブを再開。クラップパートや間奏での鋭いダンスで会場の熱を上昇させると、ワイパーやコールで盛り上がれる王道アイドル曲「はじまりは恋」へ。
その後、ニューシングル「ミルユメカサナレ」のリリースに合わせて、「ミルユメカサナレ」の名前の順番に発光させられるペンライトの販売決定を伝えると、ついにライブはラスト2曲に。銃を撃つ振り付けが『機動戦士ガンダム』のラストシューティングのシーンのようにかっこいい「胸にいつもガンプラを」で夢を撃ち抜く覚悟を示すと、最後は最早お約束となった「ヘリコプタオル」で熱狂を巻き起こして終幕。「みんな声出しすぎじゃない?」(宮﨑)と嬉しい悲鳴を上げるほどの盛り上がりを見せた。
だが、せっかくのツーマンライブ、これで終わるわけにはいかない。前橋ウィッチーズを再びステージに召喚して13人のアイドルが揃うと、ダメ押しとばかりに、昼夜2公演合わせてこの日5回目となる「ヘリコプタオル」を全員で賑やかに披露。両グループのメンバーたちが混ざり合う立ち位置で、一緒に手でハートマークを作ったりと和気あいあいと盛り上がりながらフィニッシュ。グループやファンの垣根を越えて、理屈抜きで楽しめる空間を作り上げて、初のツーマンライブは大団円を迎えた。プラモ愛と前橋や作品への愛、それぞれの思いを胸に活動する両者の見る夢が重なり合う、両グループにとって実りある一日だったのではないだろうか。
ライター:北野創/カメラマン:草刈雅之